2015年9月16日水曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ7ランカピーノ父子「昨日と今日」

いやいや、本当にいいコンサートでした。
ランカピーノ父と子の二人による公演。会場はトーレ・ドン・ファドリケ。
カンテ・リサイタルとあって、ペーニャ関係者など年配男性も多いのが舞踊公演との違いかも。
二人が登場しただけで会場は拍手につつまれた。

最初はマルティネーテ。
ランカピーノの息子。1988年生まれのランカピーノ・チーコは朗々と。
声質は父のような、しゃがれたタイプではなく、アルカンヘルやミゲル・ポベーダのような、はりがありのびのある声なのだが、ケヒオ、嘆きの感じ、声をかすらせる感じや、声の強弱のコントロールなど、とてもとてもフラメンコ。
Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

父は年をとってより味わい深く、より自由になったようだ。 
歌い回しなどは往年のままだが、前はきちんと通常の形の通り、あったけれど、今では好きなように歌っている。

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

まずは息子のソロはアントニオ・イゲロの伴奏で。
カディスのアレグリアスはゆっくりゆっくりていねいに歌う。パウサダ、しっとり落ち着いていて、なおかつカディスの香り高い素晴らしいうたいっぷり。しっとり歌われたことで、元気な曲というアレグリアスのかくれた魅力に出会った気分。あたたかみのある優しい曲なのだ。
 タンゴス・リブレスとプログラムにあったように、リズムにこだわらず、ファンダンゴ・ペルソナル風に、のばしたりしながら歌うタンゴ。ティエントぽくもあるのだが、でもやっぱりタンゴ。タンゴもカディスの曲だからか、これも見事。
ファンダンゴは立って。舞台前面にでてきて歌い上げる。
最後のブレリアも上等。
いや、これは本当によい歌い手であります。

お父さんはマラゲーニャをふたつ。そしてソレア、シギリージャ。
歌い方がかなり自由で若いギタリストには荷が重いかも。
そのシギリージャの前に、「チャノ・ロバートが、俺のことをアフリカのロバート・レッドフォードっていったんだよ」といい、会場は笑いにつつまれる。
続いて「ビバ!カハ・デ・アオロ」(信用金庫万歳)
会場大爆笑。
シリアスで悲劇的な曲であるシギリージャの前にこれですか、うそでしょ、という感じ。
が、ミゲル・サラドのギターでシギリージャ、レトラふたつ。古い響きでよいのであります。
ブレリア。息子もでてくるがまずは父がひとしきり歌って息子も歌うのか?という顔をするのがおかしい。
息子は終止父を気遣い、父をたてる。孝行息子。

ブレリアになるとヘレスの二人のギタリストも本領発揮でいきいきと。

いやいや良い夜でございました。
父のカンテ、子のカンテ。それぞれに味わいがあり魅力的。
フラメンコのかたちはひとつじゃなくて、それぞれ違ってそれがまたいい。
あったかいあったかいコンサート。聴くことができた人は幸せです。
Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

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