昨日のアルカンヘルは満員で千人近い観客が入ったそうだが、おそらく今日はその半分。
ヘレスの歌い手マカニータ、マドリードのベテラン・ダンサー、エル・グイト、一時活動を休止していたセビージャの歌い手ポティート、の出演。彼ら3人が共演した舞台というのは記憶にないし、共通点というえばヒターノであることだけで、どんな舞台になるのか見当もつかなかったけど、結論からいえば3人がそれぞれのパートを30分ずつやるという、いわばジョイントコンサート的、というか、昔ながらの村のフェスティバル方式、というか、な形でありました。いや、村のフェスティバルにはつきものの全員でのフィン・デ・フィエスタもなかったし、3人でやる意味はまったくなかったも同然。
トップバッターは黒いレースの衣装のマカニータ。今のヘレスを代表するカンタオーラ。この人の声には伝説的なソレア歌いであるフェルナンダにも通じる味わいがある。歌う声は似ていないんだけど、音をのばした歌い終わりのところとか、ちょっといい具合にかすれてて本当に味があるムイ・フラメンコな声なのだ。マヌエル・バレンシアの伴奏でティエント〜タンゴ、ソレア、ブレリア。マヌエルの伴奏はふかふかのベッドのように心地よく響き決して歌を邪魔せず支える感じ。マカニータはファルセータが終わってないことなどおかまいなしにうたいはじめる。もっといえばギターが刻むコンパスの、はいここで入りますというところではなく、まるでギターをまったくきいていないかのように自由に歌い始める。あくまでも歌が主役。そんな勝手な感じもわるくない。彼女は昔からあまり変わらない。レパートリーも歌詞も。最後は立ってマイクを外して歌って踊るブレリア。だが今日はワイヤレスマイク付き。いまいち盛り上がらないか。そういえばこの同じ舞台でパケーラが歌ったことがあったなあ、と思い出してるうちに終了。
La Bienal.Antonio Acedo |
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最後はポティート。一時引退していたこともあり、大きな舞台で彼を聴くのは久しぶりだ。ソレア。シギリージャ。タンゴ。ブレリア。伴奏はホセ・カルロス・ゴメス。アルへシラス出身のギタリストで、スペイン国立バレエを経てニーニャ・パストーリのグループで活躍した人でソロアルバムもだしている人だけど、カンテ伴奏をこうした形でみるのははじめてかも。おそらくあまり一緒にやっていないとみえて、タンゴで昔のアルバムに入ってた曲など歌うとそれについていくのはちょっとたいへんそう、でありました。ソレアやシギリージャは本格純粋派の伝統的なかたち、というかむしろちょっと古い感じ。モデルノからの伝統回帰?いや、でも考えてみれば昔々、こどものときから彼はこんな感じで歌っていたな、と。トラバレングアという、ちょっとかんでしまいそうな早口な感じでの歌い方とか、声ののびとか。カニサーレス伴奏のアルバムとかあった(けっこう好きだった。今探したら「マカンデ」というアルバムでございます)し、それなりにテミータとよばれるような曲も歌ってはいたけどさ、てなことを考えながらみていたんだけど、終わったあとで友達と話していたら、二人も同じことを考えてたということが発覚。うん、マカニータといい、もともとのものから変わることはあんまりないのかも。そう考えるとやはり昨日のアルカンヘルはすごい、モレンテはもっとすごかった、と思ったり。
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しかしこういう形での公演、もう少し手をかけて、アルティスタ同士のなんらかのつながりをつくるとか、場面でのつながりを意識するとか、なんかできないものですかね。その意味でも初日のガラ公演はよかったね。
今日はヘレスのアルティスタによる公演です。
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