ヘレスはいいギタリストが多い町。その中で6本の弦になぞらえたのか6人のギタリストが登場し、それぞれ2曲ずつ演奏するとともに、3人ずつトリオで1曲+6人のギタリスト全員登場するフィン・デ・フィエスタ、つまり15曲。トリオには舞踊のフェスティバルであるゆえ舞踊も入る。というと長くなるのは予想されたことだったけどいやあ2時間余りでございました。こんなに長いとせっかくみてくれた舞踊ファンたち、ギターソロはつまらんとひいちゃわないかな、と老婆心。
基本、各ギタリストの2曲は1曲がパコの曲でもう1曲が自分の曲、ということだったらしいのだけど原則は原則。規則は破られるためにある。なおギタリストの登場は年齢順。
なおアルティスタが変わるごとにパコのドキュメンタリーの部分が流れるという構成。
最初は最若手マヌエル・バレンシア。
© Festival de Jerez/Javier Fergo |
続く自作のアレグリアも見事で、若い才能が着実にでてくるヘレスの懐の深さに脱帽。
続くサンティアゴ・ララは自作のグラナイーナではじめ、98年発表のアルバム「ルシア」収録のブレリア「リオ・デ・ミエル」 。私が初めてこの曲を聴いたのはまだアルバム発表前、パリでのリサイタルだった。「失われた時を求めて」のマドレーヌではないが、ひとつのメロディが忘れていた記憶をよみがえさせる。
© Festival de Jerez/Javier Fergo |
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サンティアゴ、ボラ、そしてアルフレド・ラゴスの3人でシルヤブ。1990年発表のアルバムのタイトル曲であり、パコのコンサートの二部を飾った名曲だ。速いパッセージのかけあいで気持ちが盛り上がる。個人的にはアルフレドのタッチが一番パコに似ていたように思う。そこでバイレでバルージョが登場。祖父ファルーコゆずりの男らしいパソを古風な衣装でみせる。が、ちょっと長過ぎたのが残念。ヘレスのフェスティバルに出演ということで気負っていたのだろうか。
© Festival de Jerez/Javier Fergo |
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続くフアン・ディエゴは自作の曲に続き、パコのシルヤブのフレーズなどもちりばめたパコのためのロマンセ。彼とはマドリード在住時代、何度もパコとの席で一緒になった。そんな夜のことなど思い出す。彼の思いがあふれてくるようなトーケ。シルヤブにこんな深い思いをこめることもできるという驚き。
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最後はヘラルド・ヌニェス。自作の曲を2曲。パコの次世代をラファエル・リケーニやビセンテ・アミーゴらと牽引してきた彼のダイナミックな演奏を楽しみたいのだが、音響が最悪。最初から低音が少しハウリングしていたのだけど、ここにきて音量をあげたのか、よけいひどいことになって非常に残念。
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マエストロ!
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それにしても、である。せっかくのギターコンサートだというのに、この音響は許せない。終演後、音響さんに文句を言いに行ってしまいました。フラメンコはロックじゃないから、床がふるえるような低音は必要ないし、大音量も必要ない。美しい音色がそのままに私たちの耳に届くようにしてほしいものであります。
夜半過ぎのグアリダ・デ・アンヘルはモンセ・コルテス。
パコが愛した見事な声を、フラメンカな声を聞かせてくれました。
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