2015年2月28日土曜日

ヘレスのフェスティバル8日目その2ルベン・オルモ「テンタシオン・デ・ポー」

よく誤解されるのだけど、ヘレスのフェスティバルはフラメンコのフェスティバルではなくて、フラメンコ舞踊とスペイン舞踊に特化したフェスティバルであります。それに加えて、フラメンコのカンテやギターのコンサートや時によってはフラメンコフュージョンなどの公演も行われるわけなのです。フラメンコだけでなく、スペイン舞踊を取り上げるという意味では本当に貴重な存在。スペインの公立舞踊専門学校コンセルバトリオではクラシック・バレエ、コンテンポラリー、スペイン舞踊、フラメンコと別れていて、それぞれ専門で大学卒業相当の資格となります。でもその中で圧倒的に公演数が少ないのがスペイン舞踊なのではないかと。フラメンコも広い意味でのスペイン舞踊に含まれるわけですが、そのほかにバレエシューズで踊る古典舞踊エスクエラ・ボレーラ、民族舞踊、そしてフラメンコやボレーラなどの技術をつかいもともとは主にスペイン人作曲家のクラシック曲を踊っていたクラシコ・エスパニョール(今ではクラシック曲だけでなくその他のジャンルの曲だったりもするし、ダンサ・エスティリサーダとよばれることも多い)、各地の民族舞踊が含まれるわけであります。それぞれの典型的なナンバーもあれば、スペイン舞踊全般の技術を使って踊られる自由な創作というのもあるわけですね。で、ルベン・オルモの「テンタシオン・デ・ポー」はそれに入るのであります。

探偵小説、怪奇小説などで知られる作家エドガー・アラン・ポーを題材に、スペイン国立バレエ団出身で、前アンダルシア・フラメンコ舞踊団監督のルベン・オルモがつくりあげたのは、ミステリアスな作家の死の床からの夢と幻、そして狂気。1時間ほどの短い作品だがルベンは出ずっぱりでほぼ一人で踊り続ける。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
バレエダンサーのように鍛え抜かれた肉体でしなやかに強靭に表現していく。

亡き妻の面影を追い
© Festival de Jerez/Javier Fergo
狂気にさまよう。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
 そのテクニックの素晴らしさ。グラナダ生まれでセビージャの音楽学校に学びオーケストラなどを経て現在は作曲家指揮者 としても活躍しているブルーノ・アクセルの音楽にフアン・ホセ・アマドールの深い深いフラメンコな声がかぶさる。
アンダルシア舞踊センターの生徒たちの群舞にのみこまれ
© Festival de Jerez/Javier Fergo
 死を迎える、と話としてはシンプルなこの作品。ビデオを効果的に使っているのも印象的。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
ミステリーやゴシック、もしくは恐怖の要素をもつスペイン舞踊/フラメンコ作品はめずらしい。

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