2013年4月7日日曜日

イスラエル・ガルバン「ロ・レアル」enセビージャ

4月7日マエストランサ劇場での
イスラエル・ガルバン
「ロ・レアル」

を経て
オランダ、パリでも上演されたこの作品が
パワーアップされてスペインにかえってきた。

初演ではさすがに上演時間が長過ぎた、
ということで
その翌週にもう一度観に行ったときはすでに一部カットされていたが
それがさらにカットされ
より短くなっていた。
といっても場面構成はそのままで
より洗練されまとまっている感じ。

という事情があったにせよ、
観客の反応の違いには驚かされた。

場面が終わるごとに拍手。
マドリードでは罵声がとんだヒターナのシーンにも拍手喝采!
イスラエルはセビージャではすでに多くの支持層があるのだと実感。
テーマがナチスのジプシー迫害という重いテーマだけに
個人的にはすぐに拍手できない気分だったりもするのだけれど。


あばら骨が浮き出てひげをはやしたイスラエル。
その動きのひとつひとつに
死んでいったヒターノたちの魂が宿っている。

ピンクのジャージに派手なスカートをはき
木靴で,フラメンコ靴で、
スカーフでほっかむりしたベレン・マジャの
ユーモラスな動きにも苦しみのたうち回る動きにも
たくさんのヒターナたちの影がうつる。

ナチス政権下ドイツでアンダルシア風の映画が制作された話は
ペネローペ・クルス主演の映画にもなったが
ナチスドイツのアンダルシア愛をからかうように
踊り歌う蠱惑的なイサベル・バジョン

三人の踊り手たち
それぞれのかたち。
それぞれの美しさ。
磨き抜かれた
それぞれのフラメンコ。

だがそれを楽しむ余裕がないほどに
圧倒的な迫力で伝わって来るメッセージ。

忘れない。
私たちに罪はなかったのだろうか?
次は私たち?

ふるえがくるほどにこわい。

楽しい作品では決してない。
居心地が悪くなるほど。
でもまた観たくなる。

チクエロのドラマチックで美しいギターと
エミリオ“カラカフェ”のヒターノらしい重みのあるトーケ。
見事としかいうことのできないダビ・ラゴスと
トマス・デ・ペラーテの熱唱。
対照的なアーティストの共演は世界をさらに大きくした。
そしてボボーテ、ウチ夫妻のスパイス。

作品の裏にあるひとつひとつを理解しようなどと考える必要はない。
フラメンコはフラメンコ。
目の前にだされたものをみてきいて感じることにかわりはない。

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