今年のフェスティバルのプログラムの中で
最も観たかった作品のひとつ。
スペイン古典舞踊ともいうべき
エスクエラ・ボレーラの作品。
スペイン国立バレエ団「ダンサ・イ・トロニオ」
アイーダ・ゴメス舞踊団「ペルミタメ・バイラールテ」
など、
フラメンコに比べると圧倒的に観る機会が少ないものだけど、
足を高く上げたり、ジャンプしたり、
クラシックバレエのテクニックと
カスタネット。
私が愛してやまない舞踊のひとつだ。
1812年、1912年、2012年と
舞踊の発展を映していく、
とプログラムにある。
カチューチャの誕生から
ペリセによるレパートリー、
そして現在。
いったいどんな舞台に、と期待は高まる。
オープニングはスモークがいっぱいにたかれて
戦ににげまどう男女が描かれる。
1808年から1814年のスペイン独立戦争だ。
サパティージャ、つまりバレエシューズの2カップルによる踊り。
カディスの劇場で踊られたというボレーラを示しているのだろう。
舞台奥を客席にみたてお辞儀。
そこから楽屋?スタジオ?での舞踊が続く。
トゥシューズをはいてきたのはフランス娘で
ヨーロッパでの、カチューチャなどの
スペイン舞踊的バレエの流行と関連するのだろう。
Foto; Javier Fergo |
振り付けをてがけたフランシスコ・ベラスコがチーフで、
クラスを行ったり、
酔っぱらって夢をみたり、
という小芝居の合間に、
ファンダンゴ、
パナデーロ、
エル・ビート、
18世紀のセビジャーナス…
男女のペアで、
ソロで、
男性2人で、
女性2人で
とフォーメーションをかえ踊りは続く。
衣装は変わらず。
Foto; Javier Fergo |
音楽は18世紀の音楽に想を得て作曲したもの、
というが、これがどうにも、美しいとは言い難い。
当時の音楽を現代的にしたというのだろうか。
バックが黒で全体に薄暗いのも気になる。
個人的にボレーラには
華やかで明るいイメージをもっていたのだが。
当時の光の再現?
ならなぜ音楽はモダンに?
パーカッションやマリンバ、アコーデオン。
録音の音楽なのにきれいにきこえないのも気になる。
制作者にきけば
ひとつひとつに意味があるのかもしれない。
でも結果的には
単調で小芝居が鼻につく暗い舞台という印象。
踊りのかたちは美しいのに
なんかくやしい。
最後は白い衣装に着替え、
エスクエラ・ボレーラのテクニックをつかった現代のダンスを。
古典を、伝統を守るだけに限定されない、
エスクエラ・ボレーラの新しい可能性をさぐる、
意欲的な試みだ。
Foto; Javier Fergo |
同じ作品を、ぜひ、オリジナルの音楽でみてみたい。
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