7月24日土曜日コルドバのアセルキア野外劇場で
パコ・デ・ルシア公演を観て来ました!
セビージャを出る時みた街頭温度計42度なら
18時コルドバに着いてみたのも42度。
あ、暑い。。。
歩いているだけで汗だく。
公演はなんと23時半から。
ま、この暑さだし、野外公演だし。
でも数あるアンダルシアのフラメンコ・フェスティバルでも
こんなに遅い開演時間は珍しい。
パコはほぼ数年ごとにコルドバのギター・フェスティバルに出演しています。
グラン・テアトロや2003年にはアルカサル庭園、
そしてこの日の会場アセルキアにも
改築後まもなく登場しています。
2008年1月の公演を最後に
活動を休止していたパコ・デ・ルシアが
新しいグループで再び活動を開始。
まずはグループのメンバーを紹介しましょう
ハーモニカとキーボードのアントニオ・セラーノ
キューバ出身、ベースのアライン・ペレス
カンテはおなじみ、ドゥケンデ
パーカッションはラモン・ポルトゥゲスの息子、
パケーテやラモン・ポリーナの弟、ピラーニャ
と、これは2003年からのグループからの引き続きの参加。
ドゥケンデとアントニオ・セラーノは一時休んだりもしてましたが。
そして新しいグループには
舞踊伴唱などで活躍していた
歌い手ダビ・デ・ハコバ
新宿エル・フラメンコにも出演していた
パコの次兄アントニオの息子のアントニオ・サンチェス
そしてファルキートの弟、ファルー
いやいや、期待は高まります。
パコもツアーを元気に過ごしているようです。
焼けているのはマジョルカ島暮らしだからかな。
音響チェックには
アンダルシア各地のパコの友達たちや
パコのコンパドレであるビセンテ・アミーゴ、
ファルーの弟カルペータや
ギタリスト、アントニオ・レイらも顔をみせ
皆真剣に聴き入っておりました。
会場は10時半というに、自由席ということもあって
7時頃から列ができ
11時頃には長い長い列となって劇場をとりまいておりました。
4500人収容だったそうです。
その中には
エル・ペレ、ハビエル・ラトーレといった
グラナダ在住のアルティスタたち、
またセビージャからはマヌエル・モリーナ
アルメリアからはなんとトマティートもかけつけ
いやいや、さすがパコ様でございます。
満月もパコ様を観に来たような。。。
いよいよ開演
最初はいつものようにソロで
ロンデーニャ
海の底より深く
刃のような鋭さをもったあの音は健在。
静かに心の奥へとしみこんでいくようだ。
そして
ブレリア・ポル・ソレア
歌い手二人とパーカッションが加わる。
ドゥケンデの、まさに天才的としかいいようのない、
ドライブ感と深みがある歌い回しももちろんだが
ダビのフラメンコ性の高い声もいい。
アレグリアスには
ベースとハーモニカが加わる。
アントニオ・セラーノのソロの美しさ。
ハーモニカというフラメンコにはあまりなじみのない楽器が
見事に調和している。
1部の最後はアルバム「シルヤブ」収録の「愛のうた」にはじまり
ブレリアへと変化していく。
「シルヤブ」の一節が顔をだしたり、
ライブではいつも録音と同じには演奏せず、
アルバムに収録されたさまざまな曲のモチーフが混在する、
あのパコらしい構成だ。
最後にファルーが少し踊り
観客の興奮は頂点へ。
このように書いていくと
全体的には前のグループでのプログラムと
あまり変わっていないように思えるかも知れないが、
ひとつひとつの曲の中に
録音中という新譜に収録の新曲のものだろうと思われる
新しいモチーフが顔をだし、
はっとさせられる。
そう。
たとえばかるラス・ベナベン、ホルヘ・パルド、ルーベン・ダンタスらの
最強セクステットから
歌い手たちをふやした前のグループに変わったときのような
大きな変化はぱっと見には感じられないかもしれない。
が、パコは静かに進化しているのだ。
15分の休憩をへて第二部開始。
La cautivarón, la cautivarón
a una reina mora,
mora mora de la morería
アルバム「ソロ・キエロ・カミナール」収録の「パレンケ」
の印象的なメロディにはじまるルンバ
やがてカマロンのアルバム「ビビレ」収録の
シギリージャ「カンパナ・デ・アルバ」
映画「フラメンコ」のタンゴ「ペロル」
トマティートのデビューアルバムでカマロンが歌った「ローサ・デ・アモール」
チャケータが歌った「サンタ・ルシア・デ・ミ・コラソン」
「カマロン」
さまざまなレトラがリズムの中で踊る。
ファルーが踊ったのはシギリージャ
大地に根を張った強さと、
はじけるような勢いで
怒濤のサパテアード
最後はセクステット時代からのお約束
「シルヤブ」
このコルドバの町ゆかりの
ギターの始祖ともいわれるアラブ音楽家の名を冠した
曲がコルドバの夜空にこだまする。
4500人が総立ちで喝采をおくる
アンコール。
また総立ちの喝采。
そして舞台袖からファルーの弟、カルペータが登場。
ドゥケンデの歌を
空に描いていくように
深く感じてマルカール
そして血そのものを感じさせる
ファルーコ家ならではのフラメンコを披露。
終演は2時5分。
皆満足して家路を辿ったことだろう。
新しいグループによるこの公演、
なかなかみごたえがあった。
パコのギターにからむドゥケンデの歌は絶品だし
甥アントニオ・サンチェスの参加も
パコにとってもグループにとってもプラス。
リズムをしっかり刻んでキープしていくし
ソロもなかなかのものだ。
いくつかの新聞評にあったように
パコは前ほど完璧ではないかもしれない。
が、若いフラメンコたちとの共演を
前よりもっとリラックスして楽しんでいるようにみえる。
とはいうものの2時間の長丁場。
終演後はげっそりしてるようにもみえた。
今年の夏は
6月のバルセロナ、マドリード公演にはじまり、
7月もフエンヒローラ、ビトリア、バレンシア、ここコルドバと
スペイン公演の合間にフランスはビエンヌや
モントルーのジャズ・フェスティバル、
イタリアでの公演なども入り、
縦横無尽の活躍ぶり。
8月もラ・ウニオンのカンテ・デ・ラス・ミーナス祭や
ヘレスでの初公演、ウエルバのアンティージャなど
アンダルシアはもちろん
欧州中をかけめぐる。
10月のビエナルをへて11月ロンドンでツアーに幕をおろすまで
華やかな活躍は続く。
ヨーロッパにおいでならぜひ1度はみてほしい。
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