毎年恒例アンダルシア州主催のフラメンコ公演シリーズ
(フラメンコは南からやってくる)
が今年もはじまった。
セビージャではこれから5月までほぼ毎週火曜日
旧万博会場内にあるセントラル劇場で9公演が行われる。
もともとは14年前この劇場ではじまったものだが
今はアンダルシア8県で開催。
セビージャの開幕を飾ったのはラファエル・カンパージョ。
セビージャ出身
ホセ・ガルバンやマノロ・マリンらに師事。
アンダルシア舞踊団で頭角をあらわし
96年のビエナルでイスラエル・ガルバンとともに脚光をあびた。
その踊りはとにかく粋。
めっちゃくちゃ男伊達。
最高にかっこいい。
テクニックがしっかりしているだけでなく
“見せ方”を憎いほど心得ている。
相当の実力者にもかかわらず
あまり知られていないとしたら
彼がこれまでに“作品”をつくってこなかったからだろう。
現在、フラメンコ舞踊は“作品”重視。
セビージャのビエナルやヘレスなど、各地の
フェスティバル等への出演も“作品”あってこそ的状態が続いている。
が、彼は他人のつくった作品に出演することはあっても
自らがつくりあげた作品というのはほとんどなかった。
なので、少し活躍の場が限られていたように思う。
これだけの実力をもちながら残念なことだ。
それが去年、この作品
「プエンテ・デ・トリアーナ」をつくりあげ
フランスは、モン・デ・マルサンのフェスティバルで初演。
トリアーナゆかりのタンゴやソレア、マルティネーテなどをとりあげた
フラメンコのアンソロジー。
4人の若手実力派の群舞と妹アデラ・カンパージョが共演する。
群舞にはじまり
ラファエルのティエント/タンゴ
アデラのソレア
群舞のブレリアス
バタ・デ・コーラのアデラとのからんではじまるアレグリアス
カンテソロのマルティネーテ
そしてシギリージャ。
物語があるわけではなく
フラメンコ曲をきっちりとみせていくだけ。
最初と最後の足をきかせるところとか
照明とかいつもの公演より工夫している。
ラファエルはいつものようにかっこよく
切れのいい踊りを堪能させてくれた。
あの姿の良さ、かたちの美しさ。
フラメンコは動いてなんぼ、というだけじゃない。
止まったかたちの美しさも重要。
腕のちょっとした位置のちがい。
その腕の、重みをもった動かし方が
こちらの心をゆさぶるのだ。
アデラのソレアはちょっと長かったけど
ヒターナっぽい動きや古風なかたちなども入って
興味深いバイラオーラだ。
日本人でも習う人が多いのがよくわかる。
でも群舞の必要があったかというと疑問が残るし
どこかくいたらない部分もある。
観客たちも大熱狂とはならなかったようだ。
全体を考えるあまり、自分を最大限にいかすことを忘れた?
なんてことはないだろうが
ラファエルは根っからの踊り手だから
演出家の仕事は演出家に任せるのがいいのかも
などと思ったことでした。
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