2018年度の芸術功労金章の受章者が発表され、フラメンコでは、昨年のエバ・ジェルバブエナに引き続き、ぺぺ・アビチュエラ、マヌエラ・カラスコが受章する。
スペインの文化スポーツ省が毎年、文化芸術の功労者におくるこの章、今年は彼の他に、アントニオ・カナーレス『ベルナルダ』、サラ・バラス『マリアーナ・ピネーダ』を演出したリュイス・パスクアル、カルメン・コルテス『セレスティーナ』を演出したヘラルド・ベラや、妹がかつてホアキン・コルテスのカンパニーで活躍したペネローペ・クルスらも同時受章する。
2018年12月28日金曜日
2018年12月26日水曜日
フラメンコ・ビエネ・デル・スール2019
アンダルシア州が主催するフラメンコ公演シリーズ、フラメンコ・ビエネ・デル・スール、2019年のプログラムが発表されました。
2月からグラナダは毎週月曜日、セビージャは火曜日に公演が行われます。
個人的にとても楽しみにしているのは、マヌエル・リニャンの新作。2月にマドリードで初演されるのですが、男性舞踊手たちがスカートで踊るらしい。。。バタで名を成した?リニャンらしいかも?
2月からグラナダは毎週月曜日、セビージャは火曜日に公演が行われます。
個人的にとても楽しみにしているのは、マヌエル・リニャンの新作。2月にマドリードで初演されるのですが、男性舞踊手たちがスカートで踊るらしい。。。バタで名を成した?リニャンらしいかも?
◇『フラメンコ・ビエネ・デル・スール』
○グラナダ
2/11(月)『エン・ラ・メモリア』
[出]〈b〉アンヘレス・ガバルドン、〈c〉ヘマ・カバジェーロ、〈g〉マルタ・ロブレス
2/18(月)『ヌエボ・ファクトリア・デル・カンテ』
[出]〈c〉ラ・ジージャ、エル・ボレーコ、アリシア・モラーレス
2/25(月)『ジャント・デ・ギターラ』
[出]〈g〉ペドロ・シエラ、〈c〉フアナ・ラ・トバラ
3/4(月)
[出]〈c〉ヘスース・メンデス、〈g〉マヌエル・バレンシア
3/11(月)『ファロ』
[出]〈b〉エドゥアルド・ゲレーロ
3/18(月)『デ・ラ・コンセプシオン』
[出]〈b〉マリア・モレーノ
3/25(月)『ウン・スエニョ・デ・ロクーラ』
[出]〈g〉ダビ・カルモナ、〈c〉キキ・モレンテ
4/8(月)『メメント』
[出]〈c〉マイテ・マルティン
5/13(月)『ビスト・エン・エル・フエベス』
[出]〈c〉ロシオ・マルケス
[場]グラナダ アルハンブラ劇場
[問]www.teatroalhambra.com
○セビージャ
2/12(火)『ヘネス・トリロヒア』
[出]〈c〉ホセ・デ・ラ・トマサ、ガブリエル・デ・ラ・トマサ、マヌエル・デ・ラ・トマサ
2/19(火)『プラサ・ビエハ』
[出]〈g〉ホセ・デル・トマテ、トマティート
2/26(火)『プントス・インアカバードス』
[出][場]ヘスース・フェルナンデス、アナベル・モレーノ
3/5(火)
[出]〈c〉アウロラ・バルガス、〈b〉アルバ・エレディア
3/12(火)『プラグロリア』
[出]〈g〉ニーニョ・デ・プーラ
3/19(火)『バイレス・デ・アウトール』
[出]〈b〉マヌエル・リニャン
3/26(火)
[出]〈c〉イスラエル・フェルナンデス、〈g〉ディエゴ・デル・モラオ、〈b〉ベレン・ロペス
4/2(火)『エル・ソニード・デ・ミス・ディアス』
[出]〈b〉ヘマ・モネオ
4/9(火)『アルバイシン』
[出]〈c〉キキ・モレンテ
[場]セビージャ セントラル劇場
[問]www.teatrocentral.es
2018年12月16日日曜日
チケテテ逝く
チケテテが亡くなった。
と言われても、若い人にはピンとこないかもしれない。
歌い手。
フラメンコ系カンシオンで一世を風靡して、歌謡歌手の印象が強い人も多いかもだけど、
トリアーナのソレアを歌わせたら天下一品。フラメンコの歌い手としても一流。
かつては多くのフェスティバルに出演した。
1948年アルヘシラス生まれ。子供の頃にセビージャに移り住み、トリアーナの奥の団地、タルドン育ち。マヌエル・モリーナの父とトレス・ガディターノスというグループを組んで活動していた父にならい、彼もマヌエル・モリーナ、ギタリストのマヌエル・ドミンゲスと組んでヒタニージョス・デ・タルドンというグループでデビュー。
後、タブラオなどで舞踊伴唱などを中心に活動していたが、80年代前半にヘレスのギタリスト、パコ・セペーロと組んで出した、カンシオン中心のアルバムが大ヒット。中南米でも“バラーダ・エスパニョーラ”として大ヒットした。
いわば、フラメンコのフリオ・イグレシアス的存在。実際、フリオがカバーした曲もあるそうだ。
80年台後半のセビジャーナス『ア・ラ・プエルタ・デ・トレド』を聞いたことがある人も多いかもしれない。
写真は92年にトリアーナで開かれた、あるオメナヘでのもの。
ビエナルで、マエストランサ劇場で歌ったこともあったなあ。
最後にあったのは去年の11月に、ランカピーノ・チーコのCD録音の時。
腰の手術のため入院中に心臓発作を起こし、そこで亡くなったそうだ。
ご冥福を祈ります。
2018年12月15日土曜日
スペイン国立バレエ団創立40周年記念公演
と、改めて感じた夜でした。
マドリードの国立サルスエラ劇場での公演。一人でも多くの人に見てもらいたいけれど残念ながらすでに千秋楽まで完売。昔はそんなことなかったよね。
ナハロ監督就任以来、国立は着実にファンを増やしてきたということでしょう。
結果を出した、その彼の監督任期は来年8月で終了。なのでこれが最後のマドリー公演かも?
歴代監督の写真と声で構成されたビデオで始まる。
アントニオ・ガデス、グラン・アントニオ、マリア・デ・アビラ、ホセ・アントニオ、ナナ・ロルカ/アウロラ・ポンス/ビクトリア・エウヘニア、アイーダ・ゴメス、エルビラ・アンドレス、ホセ・アントニオ、そしてアントニオ・ナハーロ。
彼らが先頭だって築いてきた国立の歴史を彩った作品の衣装をまとったダンサーたちが客席の通路や舞台をファッションショーのように歩く。
鮮やかな色彩はピカソデザインの『三角帽子』、白のボツボツが着いたのはラトーレ振り付けの『ロコ』、膨らんだスカートは『エリターニャ』、薄紫のバタは『アレント』…
思い出せる衣装もいろいろ。バックに流れるのはボッケリーニのファンダンゴ?『ダンサ・イ・トロニオ』で聴いた曲。
最後は全員で舞台の上でポーズ。
Ballet Nacional de España |
国立の40年の歴史へのインビテーションとして最高のプレゼンテーション。
最初は先日の日本公演でも上演された『エリターニャ』、グラン・アントニオの振付。
エスクエラ・ボレーラの素晴らしい作品。本拠地ではオーケストラの生演奏で。
私が見た日はカルロス・サンチェスとミリアム・メンドーサが踊っていた(ダブルキャストでセルヒオ・ベルナルとデボラ・マルティネス)のだが、日本で踊ったセルヒオ・ベルナルに負けず劣らず素晴らしかった。
そして群舞がまたすごい!。よく揃っているし、形の美しさはもちろん、とにかく超絶テクニック! クラシックバレエ的な足づかいとスペイン的な
『アランフェス協奏曲』の第2楽章は、その昔パコ・デ・ルシアのアランフェスの指揮者として来日したこともあるホセ・マリア・ガジャルドが生演奏。豪華!
ピラール・ロペス振り付けのこの作品、動きがゆっくりだったり、群舞が全員同じ振り付けだったりと、全体の印象はどうしても古臭い感じがしてしまう。伝統を感じても決して古臭くは見えない、グラン・アントニオの振り付けは古典だなあ、とつくづく思うわされる。
と言っても、ピラールの振り付けは細部がいい。形の美しさ、動きの優雅さなど、やはり、伝統だ。歴史を感じさせる。
私が見た日に踊ったインマクラーダ・サロモンの才能もあるだろう。
続く『プエルタ・ティエラ』がこの日の白眉!。エスクエラ・ボレーラの最高峰的作品で、これもグラン・アントニオの振り付け。何度か、国立バレエでも踊られていて、私はキャスト違いで以前に2回観ているが、それにもまして今回は素晴らしかった。完璧なテクニック。跳躍、回転、カスタネット。以前、見た時は、いいんだけど、どうしても以前のパレハを思い出して比べてしまったが、今回はそんなことはなく、ただただ感嘆!
セルヒオ・ベルナルとデボラ・マルティネス(ダブルキャストはエドゥアルド・マルティネスとミリアム・メンデス)は、テクニックだけでなく、表現もいい。
アントニオ・ガデスの遺作『フエンテオベフーナ』は、洗濯場のシーンを。
女性たちが後姿で腰を動かす振りとか、懐かしくて涙が出そうになる。
続く主役ふたりのパドドゥ、代官の横恋慕など、台詞がなくとも、元のあらすじを知らなくても、すぐにわかる、この明解さ。群衆の動きのコントロール、陰影のある照明。
どれを取っても素晴らしい。この日は主役をエドゥアルド・マルティネスとクリスティーナ・カルネーロの二人が踊ったが、クリスティーナはガデス舞踊団でこの役を踊っていただけにさすがの出来。なおダブルキャストで主役を踊るアルバロ・マドリードもガデス舞踊団出身で、彼とインマクラーダ・サロモンが踊る役替わりもみたかった!
『レジェンダ』のソレアは、古典的衣装の男性三人によるもので、ホセ・アントニオの振り付け。カルメン・アマジャへのオマージュだった『レジェンダ』というと、長い長いバタ・デ・コーラや男装の女性舞踊手のイメージばかり残っていたが、この男性三人のフラメンコの振り付けはめちゃくちゃかっこよくて最高!
これを発掘してくれたアントニオに感謝!この曲、日本でもぜひ観てもらいたいものです。歌にラファエル・デ・ウトレーラというのにもこだわりを感じる。
そして日本でもやった『サラサーテのサパテアード』この日一番の拍手を受けていた。
一部の最後は、民族舞踊の作品『ロマンセ』。96年、今は亡きフアンホ・リナーレスの振り付け。
スペイン民族音楽の第一人者、エリセオ・パッラの弾き語り踊り語りで始まり、一組のパレハを中心に迫力のある群舞が展開される。華やかで賑やかで楽しい!の一言。
見ているだけで気持ちが上がる。ハイになる。
民族舞踊は祭りと密接な関係を持っているものが多いからかも。ホタもそうだね。
ここでも、今のバレエ団メンバーの高いテクニックがやはり要。
と、この1部だけでも1時間半。ここで終わっても満足なところ、休憩を挟んでの第2部も。
オープニングは『リトモス』。84年初演というから35年前の作品なのに古さを感じさせない。ホセ・ニエトのオリジナルの音楽も、アルベルト・ロルカの振り付けもおしゃれで素晴らしい。日本でもかなり昔に上演されたことはあるが、これまた再演希望!
ベティ先生ことビクトリア・エウヘニア振り付けの『ダンサIX』はいわゆるクラシコエスパニョール。私にはやはりローラ・グレコのイメージが強すぎる。
『イカロ』はドランテスのピアノで踊るセルヒオ・ベルナルのソロ。今回唯一の新作。バレエダンサー顔負けの新たり能力のセルヒオはすごいんだけど、でも衣装がなんだか残念な感じ。特に上体の動きの妙を見せてくれていないというか。
最後は華やかに展開される『ソロージャ』のバイレ。熱く!
曲ごとに挨拶する国立バレエの習慣から離れ、挨拶はこの最後だけ。
拍手が鳴り止まない。
40年のうち、30年は見続けていて、いろんな思い出がある私も、これが最初の国立バレエ鑑賞という人も、絶対楽しめる舞台。
退任までのラストスパートとなったアントニオ。次の監督は色々大変だなあ。
次の監督は来年初めに公募されるそうです。
2018年12月1日土曜日
ルベン・オルモとエドゥアルド・レアル「アルタノ」
カハソル財団のフエベス・フラメンコス。
セビージャの中心、市役所のあるサン・フランシスコ広場に面したチカレーロ通りから入る小さな劇場というか、講堂での公演。
スペイン国立バレエ団出身でアンダルシア舞踊団監督をも務めたルベンとアンダルシア舞踊団で活躍したエドゥアルド。公私にわたるパートナーである二人による、初めての二人だけでの公演。スペイン舞踊も得意なルベンだが、今回はフラメンコのみ。
シギリージャでのオープニング、プレセンタシオンからアレハンドロ・クルスのピアノソロ。エドゥアルドのソレア、アンダルシア舞踊団時代の作品からのパドドゥ、ルベンのタラント、二人での曲「ミ・アンビシオン・エス・カンタール」というアンヘリータ・モントージャの曲のカンタールをバイラールに変えた一曲というシンプルな構成。
舞台は小さく、照明も最低限。だから踊りそのものがクローズアップされる。
早いテンポで始まる男二人パレハでのシギリージャは黒と赤の衣装で、同じ振りを一緒に踊るだけでなく、二人が違う振りで会話するように踊ったりするのがいい。
エドゥアルドのソレアも早いテンポで始まり、後、ゆっくりに。怒涛の足。
なのだが、ふとしたところにフラメンコらしい味わいがある。
残念なのは歌もギターもイマイチであること。特にギターは音程が?
パーカッションのソロに続いて、パドドゥ。
詩人ロルカの闘牛士で詩人、イグナシオ・サンチェス・メヒアスへの哀歌を、ロルカのルベンとサンチェス・メヒアスのエドゥアルドが、闘牛で使う布ムレタを使って踊る。
ルベンのタラントは、上体をずっと前傾させているのが気になるものの、ムイ・フラメンコ。と、かんじさせるのはその間合い。
スペイン舞踊をも得意とし、バレエのような身のこなしや美しい回転や跳躍で知られるルベンだが、こんなにもフラメンコなんだ、と目からウロコ。
タンゴはグラナダぽい感じで、これも良かった。
金色のようなフレコのついたベスト?かマントン?のようなものをつけた衣装はうーん、だったけど。
状態前傾は細身で華奢な彼がサパテアードを力入れて打つためなのかな?でも美しくない。
特に横向きが多かったからそう思ったのかも。
最後の二人での、マントンを使ってのパレハがこの日最高の瞬間。
女性がパンタロンを着ることで解放されたように、マントンも男性の手にも至ることで解放されているのかも。
男性の力強さゆえか、マントンの飛翔もキレがある。
途中、エドゥアルドのフレコが絡まることもあったが、うまく収めた。
最後はルベンの、アンダルシア舞踊センターでの生徒だという18歳の女の子二人もブレリアを踊ってしめ。
男性同士のパレハ、男性のマントン、マヌエル・リニャンのようなバタ・デ・コーラもそうだが、女性が男性顔負けのサパテアードをみせるだけでなく、男性も元々女性の領域とされていたところに進出するのも男女同権。というだけでなく、アルテの可能性を広げることだなあ。
セビージャの中心、市役所のあるサン・フランシスコ広場に面したチカレーロ通りから入る小さな劇場というか、講堂での公演。
スペイン国立バレエ団出身でアンダルシア舞踊団監督をも務めたルベンとアンダルシア舞踊団で活躍したエドゥアルド。公私にわたるパートナーである二人による、初めての二人だけでの公演。スペイン舞踊も得意なルベンだが、今回はフラメンコのみ。
シギリージャでのオープニング、プレセンタシオンからアレハンドロ・クルスのピアノソロ。エドゥアルドのソレア、アンダルシア舞踊団時代の作品からのパドドゥ、ルベンのタラント、二人での曲「ミ・アンビシオン・エス・カンタール」というアンヘリータ・モントージャの曲のカンタールをバイラールに変えた一曲というシンプルな構成。
舞台は小さく、照明も最低限。だから踊りそのものがクローズアップされる。
早いテンポで始まる男二人パレハでのシギリージャは黒と赤の衣装で、同じ振りを一緒に踊るだけでなく、二人が違う振りで会話するように踊ったりするのがいい。
エドゥアルドのソレアも早いテンポで始まり、後、ゆっくりに。怒涛の足。
なのだが、ふとしたところにフラメンコらしい味わいがある。
残念なのは歌もギターもイマイチであること。特にギターは音程が?
パーカッションのソロに続いて、パドドゥ。
詩人ロルカの闘牛士で詩人、イグナシオ・サンチェス・メヒアスへの哀歌を、ロルカのルベンとサンチェス・メヒアスのエドゥアルドが、闘牛で使う布ムレタを使って踊る。
ルベンのタラントは、上体をずっと前傾させているのが気になるものの、ムイ・フラメンコ。と、かんじさせるのはその間合い。
スペイン舞踊をも得意とし、バレエのような身のこなしや美しい回転や跳躍で知られるルベンだが、こんなにもフラメンコなんだ、と目からウロコ。
タンゴはグラナダぽい感じで、これも良かった。
金色のようなフレコのついたベスト?かマントン?のようなものをつけた衣装はうーん、だったけど。
状態前傾は細身で華奢な彼がサパテアードを力入れて打つためなのかな?でも美しくない。
特に横向きが多かったからそう思ったのかも。
最後の二人での、マントンを使ってのパレハがこの日最高の瞬間。
女性がパンタロンを着ることで解放されたように、マントンも男性の手にも至ることで解放されているのかも。
男性の力強さゆえか、マントンの飛翔もキレがある。
途中、エドゥアルドのフレコが絡まることもあったが、うまく収めた。
最後はルベンの、アンダルシア舞踊センターでの生徒だという18歳の女の子二人もブレリアを踊ってしめ。
男性同士のパレハ、男性のマントン、マヌエル・リニャンのようなバタ・デ・コーラもそうだが、女性が男性顔負けのサパテアードをみせるだけでなく、男性も元々女性の領域とされていたところに進出するのも男女同権。というだけでなく、アルテの可能性を広げることだなあ。