2018年7月27日金曜日

ビエナル初演作品「エル・サロン・デ・バイレ」記者会見

ビエナルまであと1ヶ月あまり。
そこで初演される作品も稽古真っ只中、というわけで、
稽古公開➕記者会見。
ラファエラ・カラスコの「エル・サロン・デ・バイレ」

サロン・デ・バイレとはフラメンコの草創期に、フラメンコを見せた場所。
カフェ・カンタンテよりも前?の時期で、アカデミア・デ・バイレとか、サロン・デ・バイレとかいう名前のところで、フラメンコ/スペイン舞踊を、入場料を取って見せた。
いわばタブラオの祖先。
そのイメージからスペイン舞踊とフラメンコの草創期をイメージした作品。



なので、サパティージャ、バレエシューズで踊る、エスクエラ・ボレーラの名手も参加。
タマラ・ロペスとルベン・オルモ。二人ともスペイン国立バレエで活躍した実力派。

他にもハビエル・バロン、ダビ・コリアと国立出身者。
スペイン舞踊とフラメンコ、全部できる人ばかり。



うーん、楽しみ。

2018年7月22日日曜日

第5回パコ・デ・ルシア国際ギターの集い

パコがなくなった年から始まった、パコ・デ・ルシア国際ギターの集い、というフェスティバルが今年もパコの生まれ故郷アルヘシラスで開催された。
7月17日初日を飾った地元出身ホセ・カルロス・ゴメスを観ることは叶わなかったが、19日外国でのパコという座談会に呼ばれたおかげで20日のフラメンコの夜というコンサートを観ることができたのだ。ありがたい。
ちなみに19日はパコ・モンタルボというバイオリン奏者だったのだが、バイオリンのリチャード・クレイダーマンという感じで、二筋の川とか演奏しようが、ヒット曲を演奏しているというだけであまり意味がない感じ。エル・ビートとか、みんなが知ってる曲を演奏するから一般のお客さんにはそれなりに受けてたみたいだけどね。
さて20日。まずは20時からの講演に。フラメンコとテクノロジーという面白いテーマ。
録音技術が生まれ、蝋菅レコードやSPレコードからLPへ、映画からビデオへそしてインターネットへ。テクノロジーの進展とともにフラメンコも変化していく。当たり前のことなんだけどね。外国人に教えるフアン・タレガの録音が面白かった。

続いて、フェルナンド・カネラが3曲歌った。まっすぐなカンテ。
伴奏の若手、ルベン・ララがいい。


そして夜。マリア・クリスティーナ公園でギター、カンテ、バイレのそろい踏み。
まずはアントニオ・レイのソロ。超テクニックで見せる。






続いてはカンテ。アントニオ・レジェス。伴奏はディエゴ・デル・モラオ。

アントニオはマノロ・カラコールとカマロンとアントニオ・マイレーナを足して割って、スピードを半分にした感じ。声もいいし、音程もいいし、でも速度落としすぎ、倍に伸ばしてる感じなのはちょっとなああ。



 伴奏のディエゴがすごく繊細で、間合いがよく、優しく、心がこもっている。
ギターだけずっと聴いていたい。


最後はバイレ。ファルキート!
カンテを最大限にリスペクトして、レトラの時には足を入れない。








そしてギターのホセ・ガルベス!
この人はもともと歌い手なのだが、ギターがまた素晴らしい。
昔風の深い響き。



三つのギターそれぞれに魅力的で、パコもきっと楽しんだことだろう。

2018年7月13日金曜日

フラメンケリア/工藤朋子と田村陽子

セビージャはトリアーナ、カスティージャ通りにあるフラメンケリア。
昼間はフラメンコスタジオだが、グアダルキビル川に面した大きなスタジオは夜タブラオに変身。
タブラオと言っても毎日決まったメンバーでライブがあるわけではなく基本週末のみだが
時にアントニオ・カナーレスなどとんでもない大物のライブがあったりするところ。
そこで現在セビージャ留学中の二人、工藤朋子と田村陽子がライブを行った。
鍵田真由美門下の工藤と小松原庸子門下の田村。
日本ではほとんど接点がなかったろう二人がこうしてセビージャで一緒に踊るというのが面白い。

オープニングは二人でマントンを使っての華やかなアレグリアス。
二人とも舞踊団での活動が長いせいもあるのか、非常にきちんとしている。二人で踊るのは初めてだろうと思うのだが、ごく自然な感じ。破綻がない。
マントンも、ある程度重みのあるもので、やはり、マントンはちゃんと刺繍が多めに入ったこういうタイプでこそ、美しく見える、というのも確認。いや、もちろん、二人の技術がしっかりしているというのもある。重みのあるマントンを自在に操るのは体力的にも大変なはずだ。が、いくら技術があっても例えば無地のものだと、軽すぎてひるがえってしまいシーツを干しているように見えてしまうこともある。上級者には上級者なりの衣装、小物が必要なのである。
田村の、胴体の使い方が秀逸。コンクールの時に多かった、鎧のように胴体が動かない人に見せたいほど。体をひねるというのか、ねじるというのか、柔らかく使っているのが良い。日本人の体はスペイン人に比べると平面的なのだが、体の使い方で立体的に見て、棚ミックに見える。工藤のマントンを床に置くときの丁寧さが、小さなことだが、セビージャらしい感じで、留学の成果の一つかも?
ギターソロを挟んで、工藤のソロはタラント。
ちゃんと曲の性格を理解して踊っているのを感じる、男前なタラントだったがちょっと長いし、同じように見えるところがあるのでもう少し振りを整理すればもっとずっと良くなるのではないかと思うが、技術はもちろん、曲への入り込み方など、文句のつけようがない。後半タンゴに成ると歌より先にいく感じもあるが、歌を待って、ためて入るともっとフラメンコな感じになるようにも思う。
田村のソロはシックなバタ・デ・コーラにカスタネットでのシギリージャ。
ここでもやはり体の使い方がうまい。が、ところどころ歌やギターのペースと踊りがうまくかみ合わず混乱するような感じがあったのは残念。また、シージョの背中のところがずれてしまったのも残念。
工藤もシージョのフレコが櫛?に絡まっていたが、こう行ったことはアクシデントで誰にでも起こりうることなのだが、絡みにくいアクセサリーにする、フレコに柔軟剤をスプレーして静電気を避けるなど、また田村なら安全ピンで留めるなど、何らかの工夫でリスクを避けることが可能なアクシデントはなるべく避けるべきだろう。踊りよりそっちに気がいってしまうから踊り手にとっても損だと思う。
踊りのレベルが高いからこそ、細かいところにも気をつけるべきだ。
青い衣装で揃えた最後のブレリアも劇場的で、日本のフラメンコのレベルの高さを改めて感じさせられた一夜でございました。