2012年2月29日水曜日

ヘレス・フェスティバル2012 5日目夜 マルコ・フローレス

自らの作品では初めてのビジャマルタ劇場登場となる
マルコ・フローレス
「デ・フラメンカス」

マルコ以外は
踊り手、歌い手、ギタリスト、パルメーラと
すべて女性。
黒を基調にしたスタイリッシュな舞台と衣装。
よく考えられた構成で
舞踊家一人一人に、
歌い手にもパルメーラにも
みせどころがある。

マルコと
3人のバイラオーラ、パルメーラ、
5人で踊るマリアーナ。
Foto:Javier Fergo

4人で踊るティエントスから
グアダルペ・トーレスのタンゴに。

 リビアーナ/セラーナはマルコと二人ではじまり
小柄なリドン・パンティーニョのソロに。
元スペイン国立バレエ団第一舞踊手エステル・フラードのファンダンゴに続き、
マルコのカンティーニャス
Foto:Javier Fergo


カンテソロは
メルセデス・コルテスがグラナイーナ、
インマ・リベーロがマラゲーニャ。

女性人でのナナ。
マルコのソレア。
Foto:Javier Fergo

そして全員でのロマンセ。

舞台装置はないが
ギタリストや歌い手の位置がかわったり
ホリゾントが半分あいたりで舞台に変化をつけている。

Foto:Javier Fergo

マルコの踊りは
アントニオ・エル・ピパを彷彿とさせる。
ピパよりもずっと足が強く、リズム感がよい。
手のひらをぱっとひらいてひらひらさせるのは
男性舞踊の伝統からははずれるけれど
それも個性なのだろう。

黒のスタイリッシュは
喪に服す未亡人と娘たちの話
「ベルナルダ・アルバの家」や
スペイン内戦で処刑された13人の女性の話
「13ロサス」
などを思い起こさせる。
黒にここまでこだわらなくてもよかったのではないか、
という思いがきえない。
また振り付けがほとんど
鏡にむかって全員同じ振り付けという暮らすレッスン風というのも気になる。

これまで
マヌエル・リニャンやダニエル・ドーニャ、オルガ・ペリセらと
舞台をつくってきた彼。
今回もオルガが振り付け、衣装デザインで協力している。
まだ道ははじまったばかり。
これからの進歩を願ってやまない。

ヘレス・フェスティバル2012 5日目昼

5日目
2月28日アンダルシアの日で
アンダルシアは祝日。
テレビでミゲル・ポベーダが
アンダルシアのメダルを授与されるのを観てから
記者会見へ。
ミゲルは24日にまだ60代のお父上を失ったばかり。
傷心のほどがテレビの画面からも伝わる。
アンダルシア自治政府首相よりメダルを授与されると
胸に手をあてた。
心からの感謝。
アンダルシアに
彼を応援するすべてのひとびとに。


記者会見は明日、サラ・コンパニアで公演する、
メルセデス・ルイスと
ビジャビセンシオ宮殿で公演する
ラファエル・デ・ウトレーラ。

今まではメインのアーティストのみが登壇していたのだが
今日はメルセデス・ルイス作品のため
左からダビ・ラゴス、サンティアゴ・ララ、
メルセデス・ルイス、パコ・ロペスと4人
そしてラファエルが壇上に。


これまで全ての作品をビジャマルタ劇場で公演してきたメルセデス
これが初めてのサラ・ラ・コンパニア公演だという。

脚本のパコ・ロペスとのコンビは昨年同様。
たった3人の舞台
さてどんな風になるのだろうか。
ちなみに入場券は明日29日、3月1日19時とも完売。


シェリー酒を頂く休憩のあとは
メルセデス・ルイスのDVD
「フンカー」の記者発表。

地元紙記者フラン・ペレイラが紹介する。

2010年9月
ビジャマルタ劇場で行われた公演だという。
出演は
メルセデス・ルイスとサンティアゴ・ララのほか
カンテに
ルイス・モネオ、ロンドロ。
第2ギターにハビエル・イバニェス。
群舞にバネサ・レジェス、カルメン・エレーラ、
タティアナ・コエロ、ルシア・ルイバル。
パルマにハビエル・ペーニャ、
ピアノにミゲル・ロペス、
パーカッションにペリーコ・ナバッロ。



「ペルセクスティーバス」につづき
これでメルセデスのDVD作品は2本目となる


2012年2月28日火曜日

ヘレス・フェスティバル2012 4日目夜 イスラエル・ガルバン「ラ・クルバ」



イスラエル!

もうこの人は天才とか鬼才とか
そんな言葉じゃぜんぜん足りない。

とにかくすごいのだ。


「ラ・クルバ」は2010年パリで初演。
すでにマドリードや
フランス、ニームのフラメンコ祭、
先週はセビージャのセントラル劇場でも上演している作品。

レブリーハの歌い手
イネス・バカンと
ピアニスト、
シルビィ・クルボアジェとの共演ときいて
数年前にやはりこのヘレスのフェスティバル、
サラ・コンパニアで初演した、
イネスとディエゴ・アマドールとの
「タブラ・ラサ」
をなんとなく思い浮かべていたのですが
いえいえ。
全く違う作品でありました。


下手にピアノ。
上手に積み上げられた椅子。
そしてテーブル。

ピアノの音が響く。
初めてイスラエルを見る人なら
現代音楽のパフォーマンス?
と思うかもしれない。
Foto;Javier Fergo


前衛的な音楽の中
イスラエルが踊る。

その動きの美しさ。
全てが完璧

上手のテーブル
ボボーテが机をたたいてリズムを取り
ソレア

ピアノがアバンギャルドなら
カンテはプリミティブ
大地の香りのやさしいカンテが身体にしみこんでくる。

ブレリア

テーブルの上に飛び乗り
踊り続けるイスラエル
テーブルを舟のように自由に操る

Foto, Javier Fergo

マルティネーテ

グラン・アントニオが重なる
たくさんのグラン・アントニオの映像が、画像が
イスラエルに重なる。

白い粉の上で踊る
粉が魔法のように広がる
Foto, Javier Fergo

セビジャーナスは椅子を首にかけて

Foto; Javier Fergo

この人の想像力はとどまるところを知らない。

ビセンテ・エスクデーロがイスラエルに重なる。
イスラエルがエスクデーロを踊る。

そう椅子の山は1924年
パリで椅子のピラミッドの崩れる音を真似て
サパテアードで
踊ったビセンテ・エスクデーロへのオマージュ。

最後はボボーテとデュオで。
ユーモアたっぷりに踊ってみせる。


昔ながらのフラメンコと
一見まったく違うもののようにみえながら
実はそのエッセンスにあふれ
フラメンコを知らない人までをも魅了する。
もしくは
拒否反応を示し早々に客席をあとにする?

イスラエルはいつもこちらになげかけてくる。


真の意味での芸術家がそこにいる。

ヘレス・フェスティバル2012 4日目午後 ダニ・メンデスとアルフレド・ラゴス

19時からは
サラ・ラ・コンパニアで
「ドセ・クエルダス」
ダニ・メンデスと
アルフレド・ラゴス。

主に舞踊伴奏で活躍中の二人のギタリストによるリサイタル。


モロン・デ・ラ・フロンテーラ出身のダニ・メンデスが4曲

Foto Javier Fergo


ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ出身のアルフレド・ラゴスも4曲

Foto Javier Fergo

二人でかけあい。
でもデュオというには
一緒に弾く時間が短すぎる。

最後は
ゲストのアンヘレス・ガバルドンも登場

Foto Javier Fergo

なぜだか
セビージャのときのような緊張感が欠けていたような。


普通1時間の公演のはずなのに
終演が20時半近くとなり
21時のビジャマルタ劇場公演にまにあうように
フランコ通りをダッシュ!



ヘレス・フェスティバル2012 4日目昼


27日昼の記者会見は
28日19時から公演のミゲル・ラビ(右)と
21時ビジャマルタ公演のマルコ・フローレス(左)

ミゲルはトナではじめてブレリアで終わるけど
その間に何を歌うかはわからないそう。
一方のマルコは昔、フェスティバルでクルシージョを受けていたという、
ヘレスにも近いアルコス・デ・ラ・フロンテーラ出身。
「フラメンカ」は
3人のバイラオーラ、2人のカンタオーラ、2人の女性ギタリスト(!)
そしてマルコという女性ばかりの舞台で
一昨年コルドバで初演した作品。

休憩をはさんで
去年の賞の授賞式。


フラメンコ学会の批評家賞は
メルセデス・ルイスに

ディアリオ・デ・ヘレス紙の観客賞は
スピーチで涙ぐんだ
エバ・ジェルバブエナに


ペーニャ協会の舞踊伴唱賞は
ミゲル・ラビ


そして新人賞はレオノール・レアルに。


2012年2月27日月曜日

ヘレス・フェスティバル2012 3日目 カルメン・リナーレス

初日のレポートに写真追加しました

いやあ三日目にして大満足で劇場を後にすることができました。

カルメン・リナーレス。

現代フラメンコを代表するカンタオーラが
スペインの詩人たちを歌うリサイタル。

ギター2台にパーカッション、パルマ2人、ピアノによる
インストゥルメンタルが雰囲気をつくり
エレガントなドレスで登場したカルメン・リナーレス
ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボの
「ラ・ルス・ケ・ア・ミ・メ・アルンブラバ」
私を照らしていた光
を歌い始める。
foto Javier Fergo

しわがれた、フラメンコな声
その声が語るように歌い上げる。
ひとつひとつの言葉が
一字一字はっきりと発音され
詩人の言葉が、魂が、歌になって飛び込んでくる。
ファンダンゴのリズムで。

ミゲル・エルナンデスはマラゲーニャに。
パブロ・スアレスのセンシティブなピアノ伴奏
ジャズ歌手のように立って歌い上げるカルメン。
その叫び。
ひたひたと身体にしみこむ。
foto Javier Fergo

歌い上げ
細やかに制御していく
その見事なテクニック
そのテクニックは全て感情表現につながる。

ピアノで踊り始めるベレン・マジャ。
foto Javier Fergo

黒いボディに茶系のグラディエーションの細かいフリルのバタ・デ・コーラ。
身体の動きで詩を語っているかのようだ。
その表現力の偉大さ!
表情、手の細かな動き、そしてひとつひとつの動きに心が、意味がある。
センティードがある。
母の伝統的なフラメンコと父のモダンなフラメンコが
ふたつ同時に彼女の中に生きている。
そしてなによりも雄弁に言葉にならない感情を語ってくれるのだ。
彼女の歌いかけるカルメンの慈愛にみちたまなざし。
ロルカの詩がふりそそぐ。

フアン・ラモン・ヒメネスの「レメンブランサ」
「モゲール」はファンダンゴに。
アルバム「ウン・ラミート・デ・ロクーラ」収録の
 「キエロ・オルビダール・トゥ・ノンブレ」から
「セ・エキボコ・ラ・パロマ」へ。
ヘラルド・ヌーニェスの名伴奏を思い出す。

ロルカの詩を歌い継ぐブレリアでは
マノロ・サンルーカルやパコ・コルテスらとの共演がよみがえる。

アンコールで
ベレンが再び
「イン・パセ」
シギリージャのリズム
foto Javier Fergo

そして拍手にこたえてもう一度舞台に戻ったカルメンが
2月28日のアンダルシアの日にちなみ
アカペラで
カルタへネーラのメロディにのせた
アンダルシアの歌を熱唱。
すばらしいのひとことだ。


伝統的なフラメンコとはひと味もふた味も違うリサイタルで
面食らった人もいるかもしれない。

でも
天性の歌い手が
言葉を歌にのせ
踊り手が言葉を魂に動きにかえて
伝わってくるなにかは
そんな人にもなにかを伝えたと
たしかに伝えたと信じたい。

ありがとうカルメン
ありがとうベレン



2012年2月26日日曜日

ヘレス・フェスティバル2012 2日目 アンドレス・ペーニャ&ピラール・オガージャ

ヘレス二日目。
ビジャマルタ劇場は
アンドレス・ペーニャとピラール・オガージャによる
「エル・アイレ・ケ・メ・ジェバ」
直訳すれば
「私を運ぶ風」
意訳では
「風にのって」
てな感じでしょうか。

スペインの東風、レバンテにはじまり
アルゼンチンの南から南東に吹く、スデスタダ、
東風、ソラーノ、
メキシコやカリフォルニアの、サンタナ、
北風、ビエント・ノルテ,
西風、ポニエンテ
と風の名前のついた6場面から成る。

レバンテでは二人で踊るファルーカにはじまり
foto Javier Fergo



アンドレスのシギリージャ、
ピラールのソレア。

アルゼンチンへと飛んで
ピアノ伴奏のミロンガをアンドレス、
アルゼンチンタンゴはピリがバタ・デ・コーラとアバニコで。
foto Javier Fergo

パルマのみでアンドレスが
ロマンセにはじまるブレリア・アル・ゴルペを踊れば
foto Javier Fergo
今度はメキシコに跳んでランチェーラを
ピリがマントンで踊る。
ファンダンゴから
黒人歌手の歌うI got rhythmとなり
アンドレスがタップ風に踊ったかと思うと
マルティネーテに代わり
最後はアレグリアスからブレリアス。
foto Javier Fergo

ギターとカンテだけでなく
前述のピアノをはじめ
トランペットにサックス
アルゼンチンタンゴとランチェーラを歌う男性歌手、
アイ・ゴット・リズムを歌う女性黒人歌手、と盛りだくさん。
演出家を招いていい舞台をつくろう、と
意気込んだ感じが伝わってくるのではありますが。

アンドレスはシギリージャでもブレリア・アル・ゴルペでもマルティネーテでも
同じようなパソを繰り返す。
ピラールも同様。
衣装は変わっても踊り自体は代わり映えしない。
同じ人が踊っているのだから仕方ない?
いや
曲ごとに、曲自体がもつ性格をも表現していくのがフラメンコ、
だと私めは思うのであります。
そういう意味で私的には食いたりない。

またホリゾントにうかぶ羅針盤のような映像はともかく
バックに掲げられたじゅうたんは空飛ぶじゅうたん?
うーん謎だ。
照明も踊り手よりもミュージシャンの方が光が強かったり。
ワイヤレスマイクをつかっているせいか
音響もいまいち。

昨日同様これも新作初演でありますから
その意味でいろいろと至らぬところもあったのでしょう。
それにしても、で、あります。
はじめにコンセプトありき、で、アルティスタが2の次になり、
アンドレスとピラールという、
素敵な踊り手カップルの魅力がじゅうぶんに発揮されてない、という感じ。
作品づくりって難しいね。

で、なんだか残念な夜でありました。

明日はカルメン・リナーレス+ゲストにベレン・マジャでございます

ヘレスのフェスティバル2012 2日目昼


二日目の昼の記者会見は
26日ビジャマルタで公演するカルメン・リナーレスと
同日サラ・ラ・コンパニアで公演のラ・ピニョーナ。
まんなかにいるのはフェスティバル監督、イサマイ・ベナベンテ。
ちなみにこの日のペーニャの主役もエバ・ルビチなので
26日はさながら女性の日でございます。

カルメンはこれまでのレパートリーの中から
ロルカやマチャード、フアン・ラモン・ヒメネス、
ホセ・アンヘル・バレンテ、ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボと
近代、現代の詩人たちを歌った曲を集めたリサイタルで
ベレン・マジャがゲスト出演。
ロンデーニャ、グラナイーナなどを踊るという。
「こどものときから知っているベレンに歌うのは感無量。
母カルメン・モーラにも歌ったことを思い出します」
とカルメン。
昨年ラ・ウニオンのコンクールで優勝したラ・ピニョーナは
カディス県ヒメナ生まれ。
グラナダ、そしてセビージャのヘーレン財団で学び
セビージャのタブラオで活躍中の若手。
さてどんな舞台をみせてくれることでしょうか

2012年2月25日土曜日

ヘレス・フェスティバル2012 1日目夜 アンダルシア舞踊団

ヘレス・フェスティバル2012初日は
クリスティーナ・オヨスに代わって
新しくアンダルシア舞踊団
(バレエ・フラメンコ・デ・アンダルシア)
監督になったルベン・オルモの振り付けによる
「メタフォラ」


初日恒例のベネンシアがロビーで。
ベネンシアとは
シェリー酒を樽から柄杓で注ぐ儀式
名人は少ない動きでエレガントにみせてくれます。
もちろん注いだシェリーは希望者に


ちなみに劇場入り口では市の警官たちが
初日に来る政治家たちを狙ってデモ。
ヘレス市は経済破綻しつつあり
市の警官ももう何ヶ月もお給料をもらっていないそう。
う〜ん、たいへん。

さて「メタフォラ」
第1部がフラメンコ組曲。
ギターソロが響く。
エミリオ・デ・ディエゴの「血の婚礼」や
マノロ・サンルーカル「メデア」を思い出させる見事な演奏は
ダビ・カルモナ。
マノロ・サンルーカルの第2ギターとしても活躍中の彼、
師の影響は顕著。決してコピーではないのだが
目をつぶって聴けばマノロ?と思うに違いない。
叙情的で繊細な演奏。
ミュージシャンたちは上手奥の台の上。
5人のバイラオールのブレリアス。

続くアレグリアスが私にとっては当夜の白眉。
水色のバタの群舞
写真Javier Fergo
最初の一振りだけでマティルデ!
と叫びたくなるほどのマティルデ振り。
愛娘ロシオ・コラルの振り付けは
母へのオマージュ。
伝統的なアレグリアスの
ゆったりした動きの美しさ。
衣装の華やかさ。
スペイン国立バレエ団のフラメンコ組曲の「カラコーレス」を
彷彿とさせる。
そこにオレンジ色のバタのパストーラ登場。
写真Javier Fergo

これまたムイ・セビージャに踊ってくれた。
今一番フラメンカな踊り手。
この熱! 
伝統に彼女ならではのchispa火花が加わり
いやあ堪能させて頂きました。
形がとにかくかっこいい。
とくに頭の位置の決めがみごと。
思わずオレ!連発でございます。

続くタランタは舞踊団ソリストによるパレハ。
長い。
男性エドゥアルド・レアルは頭の位置が決まらない。

再びパストーラでハレオ
紫の衣装は黒のバックで少々観づらいが
やっぱいいなあ。

最後は全員でカナステーラ風というか
ブラウス、長いスカートにエプロンというかっこでタンゴ。
黒のバックではゲストのはずのパストーラよりも群舞が目立つ。
これってちょっと変だよね

ここで休憩。

第2部はダンサ。つまり舞踊。
フラメンコ以外のスペイン舞踊の可能性を垣間見せてくれる。
この第2部はコルドバ交響楽団が伴奏。
だがこの音楽がむむむ、な出来なのが残念でならない。
パーカッションのアグスティン・デイアセッラと
ヘスース・カジュエラの共作というのだが。
いろんな曲のフレーズをまとめて貼付けた、
出来の悪いパッチワークみたいな曲。

幕開きはルベン、その人のソロ。
バレエシューズで、
バレエ的なテクニックをもつかっての彼のソロというのは
前作「トランキーロ・アルボロト」でもみせたもの。
しなやかで美しい動きをみせる身体
続いて群舞のワルツ風
民族舞踊風
(マラガとグラナダの民族舞踊に想を得たそうな)
写真Javier Fergo

そしてゲスト、ロシオ・モリーナのソロ。

写真Javier Fergo

ロシオは生まれついてのダンサーだ。
あいかわらずいまいちの曲ながら
そのダンサーとしての才能を発揮する。
回転。形の美しさ。細部に至るまで気を抜かない。
白いドレスもよくにあっていた。
最後は黒い衣装での全員のブレリア。

全体を通してのイメージは国立バレエ未満。
グラン・アントニオやピラール・ロペスらの
往年のスペイン舞踊団へのオマージュという意味あいもあり
最後のあいさつのときには後ろに
カルメン・アマジャ、グラン・アントニオ、アントニオ・ガデス、
アルヘンティニータとピラール・ロペス、
マティルデ・コラル、ファルーコ、ラファエル・エル・ネグロ、
マリオ・マジャ、グイトら、
フラメンコ舞踊の巨匠たちの肖像。
前作ではマヌエラ・バルガスへのオマージュを織り込むなど、
古きに学び伝統に新しい息吹を与えようとする姿勢は素晴らしい。
でも今回の作品はまだ改良の余地がありそうだ。
腕が窮屈そうなジャケットや
仮装のような民族舞踊風場面の衣装。
アルハンブラ風の美しいアーチの装置もいかされてたとは言い難い。
色の整理。人の整理。
結局パストーラ・ガルバンとロシオ・モリーナの、
個人の力ばかり目立ち、
群舞の力がみえてこないのも残念。

これが初演だから
この後の公演では改められるところもでてくるだろう。
セビージャでの再演をみるのを楽しみにしよう。


ヘレス・フェスティバル2012 1日目昼

ヘレスです!

今年もヘレスにやってきました。
セビージャからはバスで1時間15分くらい。
お昼の気温はなんと23度!
朝から来ていたコートを脱いで
まずは劇場で友人のためにインターネットで買った入場券を受け取り、
毎年恒例13時からシェリー協会本部で記者会見。
ここで毎日
翌日公演するアルティスタの記者会見が行われ
その後シェリー酒をご馳走してくれます。

25日公演のアンドレス・ペーニャとピリ・オガージャ。
演出家(右)ダビ・モンテーロと
“風”をテーマにしたこの新作について語る。


ちなみにこの記者会見、誰でも入れます。
地元のアフィシオナードやクルシージョに来ている生徒たちがいたり、
地元アルティスタが来てたり。
ほかの記者会見とはちょっと違う雰囲気です。






2012年2月24日金曜日

今日からヘレスのフェスティバル


いよいよ今日からヘレスのフェスティバル!
メイン会場であるビジャマルタ劇場では
パコ・サンチェスの
フラメンコ舞踊の女性たち
という写真展も開催!

初日はアンダルシア舞踊団の「メタフォラ」

さてどんな公演になるのでしょうか

もうすぐヘレスのフェスティバル 10 アンダルシア・フラメンコ・センター

ヘレスのサン・フアン・デ・ディオス広場にある
アンダルシア・フラメンコ・センター。
サンティアゴ街のちょい手前のここでは
フラメンコのビデオやオーディオが
見放題、聴き放題。
通常は午前中だけの開館だが
ヘレスのフェスティバル期間中は
大盤振る舞い。

月曜から金曜までは9時から19時まで
土日祭日も10時から18時半まで開館。

これは行くしかありませぬ。

2012年2月23日木曜日

ミゲル・ポベーダにアンダルシア・メダル


2月28日はアンダルシアの日。
というわけで
アルメリア、カディス、コルドバ、グラナダ、
ウエルバ、ハエン、マラガ、セビージャの
アンダルシア八県は祝日。
そしてこの日に
アンダルシアの功労者にメダルがおくられる。

その今年の受賞者に
ミゲル・ポベーダが選ばれました!
万歳!

アンダルシアのメダルだから
たいていはアンダルシア人におくられる。

ご存知の通りカタルーニャはバダローナ生まれ
親もムルシアとカスティージャラマンチャ出身で
アンダルシアとの縁はフラメンコゆえ
という彼が受賞するのは
本人にとっても驚きだったらしく
受賞のしらせを受けるとすぐ
ツイッターで「なんといっていいかわからない」と。
「ありがとうアンダルシア人
南に住んでいる人たちとカタルーニャに住んでいる人たち」

おめでとう、ミゲル!


なお彼の新譜には
パコ・デ・ルシアやマノロ・サンルーカルが参加!

今最も旬なカンタオールはとどまることをしらない。

2012年2月22日水曜日

マルベージャのフラメンコ

コスタ・デル・ソルの町
マルベージャ
ヨーロッパで一番ロールスロイスが多い町ともいわれた、
高級ホテルやお金持ちの別荘が建ち並ぶ海辺の町。
ここで新しいフラメンコ・フェスティバルが開催。

出演はモネータにアルカンヘル、エル・ペレと実力者が並ぶ。




★アンダルシア、テリトリオ・フラメンコ
2/28(火)21時「エストレモ・ホンド」
[出]〈b〉フエンサンタ“ラ・モネータ”
3/2(金)21時「オロール・ア・ティエラ」
[出]〈c〉アルカンヘル
3/3(土)21時「プーロ・ペレ」
[出]〈c〉エル・ペレ
[場]マラガ県マルベージャ シウダ・デ・マルベージャ劇場
[問]http://www.marbella.es

2012年2月21日火曜日

ラ・タティのクラスenマドリ


ヘレスのフェスティバルは
世界中のフラメンコたちが注目する
大きなフェスティバル。
スペイン中、世界中からアーティストも
アフィシオナードも集まって来る。
でも
いつものフラメンコは
いつものところでやってます。

マドリードのベテラン・バイラオーラ、ラ・タティの
スタジオ・アモール・デ・ディオスでのクラス。
3月、4月の予定は下記のとおり。

11時〜12時 
基本テクニック
12時〜13時 
2/27(月)〜3/16(金)エストレマドゥーラのタンゴ
3/19(月)〜30(金)ガロティン・ポル・ブレリアス

聖週間集中クラス
4/2(月)〜13(金)12時〜13時30分
バタとバストンのバリエーション

[問]tati@amordedios.com


2012年2月20日月曜日

もうすぐヘレスのフェスティバル 9  フエラ・デ・フェスティバル

前に紹介した
そして
の公演・イベントが一緒になって
ホセ・バルガス“エル・モノ”へのオマージュとして
まとまって1枚のポスターになっています。

これが
フラメンコ・フエラ・デ・フェスティバル。
すなわち
フェスティバル外のフラメンコ。


フェスティバル外とはいっても市の協力もあるし
このイベントにだけ行くという市民も多いかも?

フェスティバル主催の舞踊公演だけでなく
こういう小さなフラメンコ公演でも
ヘレスならではのフラメンコが楽しめるはず。


2012年2月19日日曜日

もうすぐヘレスのフェスティバル 8 フラメンコ写真展

ヘレスのフェスティバルは
公演以外にもみるべきものがたくさん。

そのひとつがこの写真展。

フェスティバルのオフィシャル写真家である、
ハビエル・フェルゴの写真展。

このポスターをみただけでその実力のほどはわかるだろう。
写真好きなら彼のホームページを訪ねてほしい。
フラメンコだけでなく
スポーツや報道写真、結婚式。
どれもすばらしい。

フェスティバルの会場のひとつとなる小劇場サラ・コンパニア。
そのロビーに展示される写真。
開演をまつあいだにでもいいから
ゆっくりじっくりみてほしい。




★ハビエル・フェルゴ フラメンコ舞踊写真展「ケロ」
2/22(水)~3/8(木)
[場]カディス県へレス・デ・ラ・フロンテーラ サラ・コンパニア
[問]www.javierfergo.com

2012年2月18日土曜日

もうすぐヘレスのフェスティバル 7 ダマフアナ

ヘレスの町の中心、アレなる広場近辺から
アンダルシア・フラメンコ・センターへ行く近道、
フランコ通り。
そのなかほどにあるダマフアナ。
古い家を改装し
パティオのあるカフェバーであり
クレープ・レストランであり
遅くまで飲める店であり
ギャラリーであり
その昔は雑貨を扱う店だった。

ここでもフェスティバル期間中には
フラメンコやります。
出演は若手中の若手
ヘレスの新世代フラメンコたち。

時間は17時30分開場で18時から19時半まで
劇場にいく前の夕方に
ヘレスのフラメンコを堪能できるというわけ。

ちなみにパティオの向こうには録音スタジオ。
数多くの名曲がここで録音されました。





◆「フラメンコ・エン・ラマ」ダマフアナのフラメンコ公演
3/1(木)
[出]〈c〉マヌエル・デ・ラ・チョチェーテ、〈g〉フェルナンド・デ・ラ・ミニ
3/2(金)
[出]〈c〉ロサリオ・ファネガ、〈g〉ヘスース・マドリーレス
3/3(土)
[出]〈c〉エンリケ・デ・レマチェ、〈g〉ヘスース・マドリーレス
3/8(木)
[出]〈c〉マイセニータ、〈g〉ガイスカ
3/9(金)
[出]〈c〉ラファエル・デル・サンボ、〈g〉フェルナンド・デ・ラ・ミニ
3/10(土)
[出]〈c〉マヌエル・デ・ラ・チョチェーテ、マイセニータ、エンリケ・デ・レマチェ、ラファエル・デル・サンボ、エステファニア・サラナ、トマサ・サンティアゴ、ロサリオ・ファネガ、〈g〉ディディエル・マチョ、フェルナンド・デ・ラ・ミニ、ヘスース・マドリーレス
[場]カディス県ヘレス/デ・ラ・フロンテーラ カフェ=バル・ダマフアナ(Franco,18)

[料]入場無料
[問]http://www.damajuanacafebar.com

2012年2月17日金曜日

もうすぐヘレスのフェスティバル 6 ドゥエンデス・コパス

フェスティバル以外のフラメンコライブは
昨日紹介したティオ・ザッパだけではありません。
去年もフェスティバルにあわせてたくさんのフラメンコ公演を行った、
ドゥエンデ・コパスでもフラメンコ関係公演があるとのこと。

サラ・パウルで公演を行ったギターデュオ、ミストロボ。
そしてヘレスの若手のグループ、ADN。

前者はヘレスのギタリスト、
繊細なトーケで知られるフアン・ディエゴと
ナバヒータ・プラテアらと共演するエレクトリックギターのホルヘ・ゴメスのデュオ。
ホルヘはその昔、サラ・バラスの伴奏で来日経験のあるフラメンコ・ギタリストでもある。

後者はサンティアゴ街のフラメンコファミリーの新世代。
ニーニョ・ヘロの三男、ルイス・カラスコ、
ディエゴ・カラスコの長男、アネ・カラスコ、
画家フアン・グランデの息子、フアン・グランデ、
ギタリスト・アントニオ・カラスコの息子、フェルナンド・カラスコ。
ディエゴ・カラスコとの共演でおなじみかも?
ゲストにはフェリパ・デル・モレーノら、
多くのフラメンコたちも参加予定とか。

なお、お店は
ヘレスの町の中心、
アレナル広場から東へ行ったアングスティア広場のすぐそば。



◆ドゥエンデ・コパスのフラメンコ公演
2/25(土)00時30分
[出]ミストロボ(〈g〉フアン・ディエゴ、ホルヘ・ゴメス)
3/2(金)23時30分
[出]ADN(フラメンコ・フュージョンのグループ/〈perc〉ルイス・カラスコ、アネ・カラスコ、フアン・グランデ、〈g〉フェルナンド・カラスコ+ゲスト
[場]カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ ドゥエンデ・コパス
[料]前売り10ユーロ、当日12ユーロ
[問]duendecopasjerez@hotmail.com



2012年2月16日木曜日

もうすぐヘレスのフェスティバル 5 ティオ・ザッパ

スペイン国内はのみならず
世界中からフラメンコ・ファンが集まって来る
ヘレスのフェスティバル。

もうしっかりヘレスの町にも根付き、
風物詩的存在。
地元の店もフラメンコファンに積極的に売り込んで来る。
劇場の入り口では
レストランやお店の人がびらをまいてます。

フェスティバルにあわせて
フラメンコのライブを行う店も。

そのひとつがティオ・ザッパ
フラメンコ・ポップの人気グループ、
ロス・デリンクエンテスの店。

去年のフェスティバル期間中にも
カプージョ、トルタ、レメディオス・アマジャと
豪華メンバーが公演している。

今年のプログラムは下記のとおり。

◆ティオ・ザッパのフラメンコ公演
2/27(月)「ザ・ジプシー・カラバナ」(フラメンコフュージョン)
[出]特別協力〈c〉ホセ・ララほか
[料]前売り6ユーロ、当日8ユーロ
3/1(木)「フラメンコ・シン・フロンテーラ」
[出]〈b〉デヤ・ミランダ、タティアナ・コエロ、エステファニア・ソエリ
[料]前売り5ユーロ、当日7ユーロ
3/3(土)「エン・コンシエルト」
[出]〈g〉サンティアゴ・ララ、協力〈b〉メルセデス・ルイス
[料]前売り10ユーロオ、当日12ユーロ
3/10(土)
[出]〈c〉エル・トルタ
[料]前売り9ユーロ、当日11ユーロ
[場]カディス県へレス・デ・ラ・フロンテーラ ティオ・ザッパ
[問]http://www.tiozappa.es

なお2月29日、3月7日8日はシェリーのサービスがあるという。

場所はヘレスの町の真ん中を南北に結ぶフランコ通りのひとつ西側の通り。
なおどの公演も開店は22時。
さて公演開始は?



2012年2月15日水曜日

もうすぐヘレスのフェスティバル 4 フラメンコ・パトス



ヘレスのフェスティバルのプログラムは
公演とクラスばかりではありません。

講演もありまする。

フラメンコ学者で
コルドバ音楽学校のフラメンコ学科の教授である、
ファウスティーノ・ヌーニェスの
「フラメンコを理解する」というテーマの講演では
これをきけば
フラメンコの曲種を区別できるようになるというもの。
何をきいても同じにきこえる初心者向け?
いえいえ、専門家がきいても目から鱗の講演です。
スペイン語が得意な方はぜひ。

またベテラン・アーティストがこしかたを語る
「ビベンシアス」
今年は
カルメン・アマジャの相手役、アントニオ・デ・トリアーナの娘で
アメリカで長らく活動していたルイサ・デ・トリアーナと
マラガの鬼才、カレーテが登場。
フラメンコの歴史のひとこまの証人たちの
生の言葉にふれるいい機会となりましょう。


なおほかにも民間のギャラリーでフラメンコの写真展があったり
書籍の発表記者会見があったり。

フラメンコには
観て踊るだけでない
楽しみもあるんです。




◆フラメンコ・パトス(ヘレスのフェスティバル)
▼アトリエ「フラメンコを理解する」
3/1(木)、2(金)、8(木)、9(金)、10(土)
[教]ファウスティーノ・ヌーニェス
[内容]3/1(木)11時「フラメンコの音楽構造」、
17時「曲種による、フラメンコのコンパスとギターの調性」、
3/2(金)11時「フラメンコの古典レパートリー」、
3/8(木)17時「フラメンコの全てのす対ウニ共通する音楽要素」、
3/9(金)17時「フラメンコの複合属性」、
3/10(土)17時「各スタイル独自の音楽要素」
[場]カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ アンダルシア・フラメンコ・センター

▼お話「ビベンシアス」
2/27(月)17時
[教]〈b〉ルイサ・デ・トリアーナ
3/5(月)17時
[教]〈b〉カレーテ・デ・マラガ
[場]カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ アンダルシア・フラメンコ・センター
[問]http://www.jerez.es/es/areas_tematicas/festival_jerez/