2011年9月30日金曜日

オヨスのパリ公演

10月以降のスペインとその他、外国における
フラメンコ公演、イベント、クルシージョの情報をアップしました。
けっこうたくさんありますね。
なお情報は入り次第付け加えていきます。




この夏、
大震災復興支援チャリティーフェスティバル、真夏の夜のフラメンコにも
ゲスト出演していた、
アンダルシアフラメンコ舞踊団監督を退任した
クリスティーナ・オヨス。
その彼女の同舞踊団監督時代最後の作品、
「エル・ポエマ・デ・カンテ・ホンド」を
パリのパレ・デ・コングレで上演する。

スペイン以外の国で
最も早い時期にフラメンコが上演された国のひとつであるフランス。
モン・デ・マルサンやニームのような
一流のアルティスタが出演する大規模なフェスティバルから
地元アルティスタの小さな公演と
いろいろ行われているようだ。

オヨスはこれまでも新作初演をフランスで行ったり、
と縁の深い国のひとつ。
豪華な舞台をみせてくれることだろう。


★クリスティーナ・オヨス パリ公演「エル・ポエマ・デ・カンテ・ホンド」
11/29(火)~12/3(土)20時30分
[出]〈b〉クリスティーナ・オヨスフラメンコ舞踊団
[場]フランス パリ パレ・デ・コングレ
[料]33~75ユーロ
[問]http://www.viparis.com/
前売りhttp://www.rodrigue.fr/transact/venteenligne.aspWCI=PANIER_listeseances&IDStructure=63&IDManif=259

2011年9月29日木曜日

アンダルシア・フラメンコ舞踊団

1994年コンパニア・アンダルサ・デ・ダンサとして
マリオ・マジャを監督に発足した
アンダルシア自治政府のアンダルシア舞踊団。
その後マリア・パヘス、ホセ・アントニオの監督時代を経て
2005年、クリスティーナ・オヨスの監督就任と同時に
バレエ・フラメンコ・デ・アンダルシアと名前を変えた。

そのオヨスも契約期間満了で退任。
今後は監督により、ではなく
識者による委員会によって今後の方針を決めて進めて行くということになった。

9月27日に行われた記者会見で
若手舞踊家ルベン・オルモによる作品「メタフォラ」を
来年2月に上演することが発表された。

作品はダンサ・エスティリサーダとフラメンコの二部からなるものだという。
ダンサ・エスティリサーダは直訳するとスタイリッシュな舞踊。
すなわちクラシコ・エスパニョールの進化型とでもいうべき
バレエ的なテクニックもつかったスペイン舞踊。

11月にオーディションが行われ
10人のダンサーが選出される予定という。

アンダルシア自治政府の文化大臣パウリノ・プラタを囲んで。
左からロサリア・ゴメス/ビエナル監督、
イサマイ・ベナベンテ/ビジャマルタ劇場支配人=ヘレスのフェスティバル監督、
マルタ・カラスコ/舞踊研究家、
ホセ・ルイス・カストロ/前マエストランサ劇場支配人、演出家、
奥にセグンド・ファルコン/カンタオール、
名誉委員長マティルデ・コラル、
プラタ、
ビクトル・ウジャテ/バレエ団主宰、
アンヘレス・カラスコ/アンダルシアフラメンコ研究所所長

2011年9月28日水曜日

第20回スペイン舞踊とフラメンコのコンクール

毎年マドリードで開催される
今年も12月8日から11日まで
コロン広場下にある
フェルナン・ゴメス劇場を舞台に開催される。

参加希望者はYouTubeやVimeoにビデオをアップするか
DVDを送り
主催者に申込書、履歴書、衣装デザイン等を送付。
申し込みは10月31日締め切り。

そこで選ばれた10〜14の振り付けが劇場での選考に参加。
8、9日の予選を経て
10日が決勝

1992年にはじまったこのコンクール
第1回の優勝者はアドリアン・ガリア。
彼をはじめ多くの舞踊家が参加してきた。
今年
スペイン国立バレエ団監督に就任した
アントニオ・ナハッロもその一人。

さて今年はどんな舞踊家が登場することだろう。

なお、
一番上のリンクの
オフィシャルページでは
昨年の様子などいくつかのビデオクリップを観ることもできる。

2011年9月27日火曜日

マリオ・マジャ三回忌

2008年9月27日
マリオ・マジャが亡くなった。
あれから3年。
マリオ・マジャ財団から届いたスケッチ
若き日のマリオ

彼が残したものは
その舞台を観ることができた幸運な者たちに鮮烈な思い出と
たくさんの彼に学んだアルティスタたち。

娘ベレン・マジャをはじめ
イスラエル・ガルバン
ラファエラ・カラスコ
マルコ・バルガス

今のフラメンコ舞踊に新しい風を吹き込んだ踊り手たちは皆
マリオの舞踊団出身。

ほかにも
カルメン・コルテス
コンチャ・バルガス
エスペランサ・フェルナンデス
フアナ・アマジャ
ミステーラ
など
彼の舞踊団で世に出たアルティスタたちは多い。

マリオの遺産は
今も彼らの中に生き続けている。


最後に秘蔵の1枚を。
映画「フラメンコ」の完成披露試写後のフィエスタで
朗々と歌い上げるパケーラ。

その右でじっと耳を傾けるマリオ。

これ以上はないというくらい
楽しそう うれしそうな顔をしている

彼もフラメンコが大好きな
ほんもののアフィシオナードだったんだ







2011年9月26日月曜日

アントニオ“エル・カンボリオ”死す

スペインの通信社EFEによると
アントニオ“エル・カンボリオ”が、
9月25日、マドリードで亡くなったそうだ。
78歳だった。

ロス・カナステーロスやトーレス・ベルメハスといった
マドリードのタブラオを中心に活躍した彼は
14歳のとき
ポリーナ・デ・バダホスの成功を受け
マドリードに移り住んだヒターノのアルティスタの一人。

近年は舞台から引退していたが
長らく、アラブ風の内装で有名なタブラオ、
トーレス・ベルメハスに出演していた。

2011年9月25日日曜日

セビージャのタブラオ ロス・ガジョス

日本から友達が来て久しぶりでロス・ガジョスへ。
今年2回目かな?

観光のメッカ、サンタ・クルス街にある
セビージャ一の歴史を誇るタブラオ。
大昔
初めて旅行で訪れたときにはフアナ・アマジャやミステーラらを観たし
ベレン・マジャもトバラも
ファルーカやピラールも
アデラ・カンパージョやパストーラ・ガルバン、
ソラジャ・クラビホ、アンヘレス・ガバルドンなども
初めて観たのはたぶんここ。
最後にあげた4人は同じ時期に出てて
それぞれに魅力的な踊りをみせてくれたもんだった。
うん、最強だったね。
たしかオヨス舞踊団のフンコや奥さんのスサナ・カサスも出てたな。


この前に来たときは今年の2月だったかな、
ペペ・トーレスのフラメンコ性に魅せられたけど
トリ(最後に出演)をつとめる
イニエスタ・コルテスも休みで
全体としては地味なイメージ。

が今回は大当たり。

なんと
ラファエル・カンパージョが出演していたのだ。

ソレア・ポル・ブレリアのすごかったこと!
それまでうるさかったイタリア人団体もだまりこくる

タブラオではコルテ、つまり決めて止まるたびに拍手がくるのだが
(そのためかやたらコルテの多い踊りをする若手が多いね)
あえてそれを排除して拍手をする間を与えない。
その分、バン!と決めるとわーっとくる。

マイクのないタブラオでも
ひときわ響くサパテアードの美しさ
身のこなしの粋なこと!
身体の使い方とか
やっぱ彼が一番マノロ・ソレールのアイレを受け継いでいるかも。

おおとりで登場のイニェスタ・コルテスも
十八番のタラントをみごとに踊る。
風格がでてきましたね、この人も。
いつのまにかベテランの仲間いり。



ほかにはバタ・デ・コーラでアレグリアスを踊った
ベゴーニャ・アルセも存在感のあるいい踊りだったし
満足満足。

なお
ラファエルは10月に、
イニェスタは11月から12月にかけて、
クルシージョのため来日するそうです。
イニェスタは仙台にも行くそう。
ありがとう!
だね。

Tablao Los Gallos
Plaza Santa Cruz, 11.
41004 Sevilla
tel.954216981

ショーは8時、10時半の2回
30ユーロで1ドリンク付き
予約がのぞましい
(電話でもネットでも)

写真/ビデオ撮影は不可
但しフィナーレは後部より撮影可能
(お店の人に話すこと)
出演者はウエブにもでているが
現在の者とは一致しないことも多い
出演者を確認するには電話が一番
クレジットカード使えます。
席は来た順なので
観光シーズンは早めに行くのがまる。
でも後ろの方でもけっこうよくみえます。

ただサービスはいまいち。
従業員減ったのは不況のせい?
店内は少し明るめだし
照明も前のように変化させてないのはちょい不満。

なおトイレは2階にありますが、
2階席がすいているときなど
出演の合間のアルティスタたちや
その友達のアルティスタなんかがたまってたりします。





2011年9月23日金曜日

セビージャ アラメーダ劇場のフラメンコ


かつて
パストーラ・パボン“ニーニャ・デ・ロス・ペイネス”が住み、
マノロ・カラコールが生まれた
セビージャのアラメーダ・デ・エルクレス地区。
この北側にあるアラメーダ劇場は
ビエナルなどでフラメンコ公演も行われるが
こども向けのお芝居や
人形劇を得意とする小劇場。

この劇場でこの秋
ふたつのフラメンコ公演が行われる。
  どちらも子供向けのもので
学校が団体で観劇にやって来る。
昨年のビエナルで初演した
「フラメンコ・スクール・ミュージカル」は
ディズニーの「ハイスクール・ミュージカル」にちなんだ
ミュージカル仕立てのフラメンコ。

「オズの魔法使い」は
マリオネットと俳優がからむ作品だけど
挿入歌がブレリアだったりタンギージョだったり。

いろんなフラメンコがありますね


★アラメーダ劇場のフラメンコ
10/5(水)~9(日)※一般公演は日曜18時のみ
[出]〈c〉ラウラ・ビタル,〈b〉フアン・アマジャ、〈g〉エドゥアルド・レボジャールほか
「オズの魔法使い」
10/13(木)~16(日)※一般公演は日曜18時のみ
[問]http://www.icas-sevilla.org


なお、前にお知らせしたロペ・デ・ベガ劇場のフラメンコ
2012年のプログラムも発表されました。

2012年
2/24(金)20時30分「アグア・エンセンディーダ」
[出]〈g〉フアン・カルロス・ローメロ
3/13(火)20時30分「エン・コンシエルト」
[出]〈g〉ヘラルド・ヌーニェス
3/14(水)20時30分「ピエサス・ウニカス」
[出]〈b〉カルメン・コルテス
3/15(木)20時30分「ウン・ビアへ・ポル・エル・カンテ」
[出]〈c〉アルヘンティーナ
3/16(金)20時30分「ヒラ・アナルティスタ」
[出]〈g〉ホセ・アントニオ・ロドリゲス
3/19(月)20時30分「エストレモ・ホンド」
[出]〈b〉ラ・モネータ
[料]9~30ユーロ
[場]セビージャ ロペ・デ・ベガ劇場
[問]http://www.teatrolopedevega.org/
前売り http://www.generaltickets.com/




2011年9月22日木曜日

アイーダ・ゴメスのマスタークラス


著作権者協会財団主催による
アイーダ・ゴメスの
スペイン舞踊とエスクエラ・ボレーラの
マスタークラスがセビージャをはじめスペイン各地で開催される。



◆アイーダ・ゴメスののマスタークラス
10/4(火)11時~15時
[場]セビージャ フラメンコ舞踊博物館
10/6(木)
10/8(土)
[場]マドリード マリア・デ・アビラ高等舞踊学校
[教]〈b〉アイーダ・ゴメス
[内容]スペイン舞踊 エスクエラ・ボレーラ

[料]80ユーロ
[問]http://www.fundacionautor.org/cursodetalle.php?id=36
クラスの申し込み セビージャccrespog@sgae.es,バレンシアramos@sgae.es、マドリードangomez@fundacionautor.org

2011年9月21日水曜日

イスラエル・ガルバンのクルシージョenセビージャ


現代フラメンコを代表する舞踊家イスラエル・ガルバン。
そのクルシージョが12月、マヌエル・ベタンソスのスタジオで開催される。
マノロ・マリンのスタジオを引き継いだマヌエル・ベタンソスは
マリオ・マジャ舞踊団でのイスラエルの仲間。
時間帯をみるだけでもとてつもないクラスになりそうな予感。
イスラの振り付けのバリエーション、シギリージャ、
そしてグラン・アントニオの振り付けにインスパイアされたマルティネーテ。
レベルはわかれていないが、上級プロクラスかな?
詳しくはスタジオに問い合わせのこと。
定員制で、9月中に申し込み料金を払う場合割引があるとのこと。


◆イスラエル・ガルバンのクルシージョ
12/16(金)12時~14時、19~21時、17(土)10~15時、18(日)10~15時
[教]〈b〉イスラエル・ガルバン
[場]セビージャ マヌエル・ベタンソスのスタジオ
[問]http://www.manuelbetanzos.com




2011年9月20日火曜日

フラメンコのみかた フラメンコの場へのいかた

そもそもはツイッターでの
satosisさんのつぶやきとそれへの返信からはじまったのでした。
フラメンコの好みの話で生活の中のフラメンコって雰囲気が好き、というsatosisさんに
それは皆そうでしょうとこたえる、48cantaさん
それに対してsatosisさんの

でも、みんながみんな身近なフラメンコが好きってわけではないです。昔コンサート会場で「隣の奴が手拍子したり叫んだりしてうるさいから黙らせろ」ってクレーム入れるお客さんがいました。舞台芸術として楽しもうとした人には、ハレオは邪魔でしかない、って話。

という言葉に私はつい反応し

劇場と内輪の集まりはまた違うし。劇場での手拍子は舞台から要求される以外は禁止でしょう。ハレオもかけっぱなしとかだとうるさいけど、ここ一番にいい間で入ると気持ちいいよね。

48cantaさんが

好きな場での「居かた」を知るって、メチャクチャ重要ですよね。でもアフィシオナードは必ず学ぼうとしないといけないことだと思う。


と返信(このあたりはtogetterにまとめてあるのでご興味あればこちらで)


でフラメンコの見かた、フラメンコの場への居かた
について改めて考えたのでありました。

で、フラメンコの見かた、でございます。
結論から先にいえば、

見かたなんていうのはない、
みんな好きなように見て楽しもう

なんですが、
それにしたって最低限のエチケットというのはある。
それは

他の人の迷惑になることはしないこと。
常識の範囲で行動すること。

ですね。


劇場という舞台の上のパフォーマンスをみにいく場所では
舞台の下、つまり客席から観客が参加していいのは
基本的に舞台の上から手拍子を求める、などの要求があった場合だけ。
フラメンコではついパルマうちたくなったりするかもですが、
隣に座った人はそれを不快に思うかもしれません。
ハレオも歌舞伎の「中村屋!」という大向こうからのかけ声といっしょで
ここぞというところにかかると気持ちいいもの、
なんですが
いくら応援という気持ちがあっても
ひっきりなしに「オレエ〜」なんてかけられると隣の人はひいちゃうかもしれません。
スペインでもパルマうっちゃう人とか、足でリズムとっちゃう人とかいます。
そういうの、私はけっこう気になるたちなので困っちゃいます。
気が散って集中できなくなったりするし
舞台の上からの音楽の細かいニュアンスがききとれないことも。
コンパス外してる人はもちろんよけいに迷惑ですが
たとえプロでコンパスきちんとしてようが
舞台の上のものを観にきた者にとっては
横でうるさくされるのはかなわない、
というわけでsatosisさんのツイートに出てくるお客さんにちょっと同意です。
劇場ではなるべく静かにおとなしく観るのがいいのでは?
ここぞというところでの拍手、かけ声はOK。
でもパルマはNG。



が、これがタブラオとなると、
飲み食いしつつフラメンコを楽しむところ、というわけで
舞台そっちのけでおしゃべりというのは言語道断だけど
舞台の合間に少しのおしゃべり(小声でね)や注文、飲食などもOK。
ちなみにスペインのタブラオでは飲み物だけのところだとそうでもないのですが
食事付きのとことかけっこううるさいお客さんもいます。
が、よっぽどのことのない限り、誰からも注意されないことが多いかも。

でもそんな人をも静かにさせてしまうようなアルティスタもいたりするのが面白い。
たとえばブランカ・デル・レイ。
この人が踊り始めるとそれまでざわついていたタブラオがしーんとしてしまう。
アルテの力、ですね。
 パルマはここでもNG。
来日したスペイン人アルティスタたちよく新宿「エル・フラメンコ」に行きますが
みんなおとなしくみて、曲の最後に拍手。
小声でのおしゃべりはないではないけど
パルマうってることなんて絶対ない。
ビエン!とかハレオかけたりすることはあるけどね。

で、もっとくだけてフィエスタとなるとこれはすごく微妙。
トド・デペンデ。
すべてケースバイケース。
どんなフィエスタで
どんな人がいて
その人とあなたの関係がどうなっているか。
それによってその場への居かたも変わってくる。
気心の知れた仲間となら踊ろうが歌おうが勝手だろうが
知らない人ばかりなら遠慮する。
が踊るよう何度も誘われたらウナ・パタイータしてくる。
が基本、
 って感じですかね。

でもほんとその時々でかわってくるので
場を読まねばならないわけ。
非常にややこしい。
心理戦とか論文かけそうなくらいだよ。
なので
フィエスタについてはまた別の日にゆっくりと


2011年9月19日月曜日

パコ・デ・ルシア


6,7月にカナダ公演を行ったパコ・デ・ルシア。
この秋はヨーロッパ近辺でツアー。
イタリア、イスラエル、ロシア、ノルウエー、スイス、フランス、ポーランドとまわり
トルコでフィナーレ。


グループのメンバーは昨年同様。
スペインでの公演はいつかな?



★ パコ・デ・ルシア
9/26(月)20時45分
[場]イタリア ポルデノーネ コミュナーレ劇場
[問]http://www.comunalegiuseppeverdi.it/
9/28(水)21時
[場]イタリア ローマ アウディトリウム・パルコ・デラ・ムジカ サンタ・セシリア・ホール
[料]40~60ユーロ
[問]http://www.auditorium.com
10/29(土)
[場]イスラエル テルアビブ Hanger11
[問]http://www.hangar11.co.il
11/3(木)
[場]ロシア モスクワ クレムリン宮殿
11/6(日)
[場]ノルウエー オスロ オスロコンサートホール
http://www.oslokonserthus.no/
11/16(水)20時30分
[場]スイス ジュネーブ レマン劇場
[問]http://www.theatreduleman.com/
11/18(金)20時
[場]スイス チューリッヒ コングレスハウス
[問]http://www.kongresshaus.ch/ 前売り http://www.ticketcorner.ch
11/21(月)
[場]フランス パリ サル・プレイエール
[料]45、60ユーロ
[問]http://www.sallepleyel.fr 売り切れ
11/27(日)
[場]ポーランド ヴロツワフ センテニアル・ホール
[問]http://www.halaludowa.wroc.pl/
11/29(火)
[場]トルコ イスタンブール イス・サナ文化センター
[問]http://www.issanat.com.tr
[出]〈g〉パコ・デ・ルシア、アントニオ・サンチェス、〈キーボード、ハーモニカ〉アントニオ・セラーノ、〈b〉アライン・ペレス、〈perc〉ピラーニャ、〈c〉ドゥケンデ、ダビ・デ・ハコバ、〈b〉ファルーコ
[問]http://www.pacodelucia.org/

2011年9月18日日曜日

セビージャのフラメンコ舞踊クラス

8月中は夏休みだったセビージャの各アカデミアも
9月になって再開。

トリアーナのマヌエル・ベタンソスのところでは
午前中はベタンソスが,午後はアンドレス・ペーニャが指導中。

イサベル・バジョンとアンヘル・アティエンサのスタジオ、アドスでは
午前中がアティエンサ、午後はピリ・オガージャ(10月まで)で
イサベルは1月から復帰の予定。

アンドレス・マリンのところでは
月水金の午前と火木の午後はウルスラ・ロペス、
午後遅くにはアンドレスのクラス

アリシア・マルケスのところでは
午前中がアリシア、午後はラモン・マルティネスが指導。


 でも本格始動は10月というところもあり、
先日ご紹介したアデラ・カンパージョのクルシージョのほかに

カステジャール通りの48番にある
リンコン・デ・ラ・ルナというスタジオでは
カルメン・レデスマとピラール・モントージャ“ラ・ファラオナ”のクラスが始まります。
いずれも月水金の週3日1時間ずつ。
カルメンは11時から12時
ピラールは18時から19時で
受講料は各90ユーロ/月
申し込み、問い合わせはinfo@flamencosporelmundo.com
ちなみにカルメンは火・木の午後は
ペーニャ・トーレ・マカレーナで教えるそうな
こちらの問い合わせはtorresmacarenasevilla@hotmail.com


この通りとプラサ・デ・ペリカノあたりには
スタジオがたくさんあり
クルシージョなどもよく行われているので
張り紙をみて情報収集するのにまるです。

ほかにも
ベテラン、ホセ・ガルバンをはじめ、
マヌエラ・レジェス
フアン・パレデスのブレリア・フェステーラのクラス、
などなどたくさんのクラス開講されています。


2011年9月17日土曜日

ラファエル・リケーニ「マリア・ルイサ公園」

夏休みあけの教室みたいに
あちこちでベシート、
ほおにキスのあいさつが繰り返される劇場。
ようやくセビージャの劇場にフラメンコが帰ってきた。
暑い夏の間は
郊外での野外フラメンコ祭はあっても
劇場公演はお休み。
 客席には批評家や研究家、マネージャー、
ビエナル監督、プロデューサー、
そしてアルティスタたち。
エスペランサ・フェルナンデス、
ハビエル・バロン、イサベル・バジョン、
パコ・コルテス、ミゲル・アンヘル・コルテス、
アルフレド・ラゴス、ヘスース・トーレス、
サルバドール・グティエレス、ヘスース・ゲレーロ…
ギタリストが多いのはやはりギターのリサイタルならでは

セビージャはトリアーナ出身の
ラファエル・リケーニ。
1962年生まれというから今年で49歳。
かつて
ヘラルド・ヌーニェス、トマティート、
ビセンテ・アミーゴらと並び称されたフラメンコギターの雄。
「フエゴ・デ・ニーニョ」
「ミ・ティエンポ」
ドイツで発売された「フラメンコ」
「アルカサル・デ・クリスタル」
ホセ・マリア・ガジャルドと演奏した「セビージャ組曲」
サビーカスなど先駆者たちの名曲を弾いた「マエストロス」
そのソロ・アルバムはどれも名作。
が、人生いろんなことがあって
ギターを弾かない時期があったり
舞台から遠ざかっていた時期があったり。

去年、エンリケ・モレンテの伴奏で久しぶりにあった彼。
正直、全盛期のように指は動かないんだけど、
ときどきおおっと思わせる輝きがあって
ああ、やっぱ天才は天才なんだと思ったことだった。

セビージャでの演奏は数年前,エル・モンテでの
それはそれは美しいリサイタル以来のことではないだろうか。
ロペ・デ・ベガ劇場でのソロ・リサイタルは
90年(わ、20年前だ!)のビエナル以来じゃないかな。
(デュオでガジャルドとは弾いてるし、ほかの公演でも出てたような気がする)

そしてそのリサイタル。
彼についてのドキュメンタリーを撮影中ということで
招待券のみ,入場無料。
招待券もなくなり満員の客席。

タイルの文様を模したポスターがおしゃれ


第1部はマリア・ルイサ公園。
このロペ・デ・ベガ劇場のすぐ前に広がるこの大きな公園の中の
池やロータリーの名前や
この公園にまつわる思い出をタイトルとした小曲集。
曲はフラメンコの規則にしばられない自由な表現。
シンプルで美しいメロディ。
フラメンコのテクニックをつかっているのに
バロック音楽のような趣がある。
この音の深みはなんだろう。
トレモロの繊細さ。
クラシックギターのまじめで硬質な感じではなく
もっとゆったりとした感じ。
最後はビルバオ出身の25歳というヤゴ・サントスとデュオで聴かせた。

休憩をはさんでの第2部はチェロのソロでの子守唄にはじまり
マイテ・マルティンとのグラナイーナ、ソレア。
そしてデビューアルバムのファンダンゴ・デ・ウエルバ
「ニーニョ・ミゲルに捧ぐ」や
2枚目のタイトルとなった「ミ・ティエンポ」
など懐かしいフラメンコ曲を
ピアノ、パーカッション、チェロ、コントラバス、第2ギターの伴奏で。
昔の曲をきくと過去の記憶がまたたくまによみがえる。

パタ・ネグラのラファエル・アマドールとリケーニとが
今はなきペーニャ・エル・ボージョにて
おもちゃのようなギターを交代に手にとって
弾き続けたことがあったっけ。
休み時間も店を閉めず、弾き続けてた二人
最後にはそのおもちゃのような安ギターがものすごい音をたてだしたのだ。
ギターをならすのはアルティスタなのだ。


休憩をいれて2時間半ほどはさすがに長く
最後の全員のスタンディングオーベーションが
すぐに終わってしまいそこにアンコール曲ひきにでてくるなど
ちょっとおまぬけにもなってしまったけど
リケーニ健在。

ほかの誰にもない自分の世界と音をもった
やっぱりすごいギタリストなのだ



2011年9月16日金曜日

フエベス・フラメンコス


その昔、エル・モンテとよばれる銀行が
その文化センターホールにてはじまった
フラメンコの公演シリーズ、
フエベス・フラメンコス。
その名の通り、木曜日、フエベスに行われる。
その銀行が合併後、カハソルと名前を変えても続いている。

小さな舞台だが
舞踊ならマティルデ・コラル、マヌエラ・カラスコ、
アントニオ・カナーレス、マリア・パヘス、
歌ならチョコラーテからアルカンヘルまで
ギターもパコ・ペーニャやカニサーレス、
トマティートら
現在活躍中のアルティスタ
そのほとんどがこの舞台に立ってきたといってもいい。

経済不況に悩むスペインだけど
この銀行の財団は公演を続ける。
アルティスタを育てるのは
こういったメセナであり
観客なのかもしれない。


カセレス財団理事、エレーラ監督、マヌエル・ロンボ、エスペランサ・フェルナンデス、マヌエル・エレーラ

★カハソル フエベス・フラメンコス 2011
10/6(木)21時
[出]〈c〉エスペランサ・フェルナンデス、〈g〉ミゲル・アンヘル・コルテス
10/20(木)21時「ロンボ・フラメンコ」
[出]〈c〉マヌエル・ロンボ、〈b〉ラ・チョニ,〈g〉リカルド・リベラ、〈palmas〉ロス・メジ
11/3(木)21時
[出]〈b〉マヌエル・リニャン
11/10(木)21時「クラビヘーロ・フラメンコ」
[出]〈g〉マヌエル・エレーラ
11/24(木)21時
[出]〈b〉ハビエル・バロン
12/1(木)21時
[出]〈b〉メルセデス・ルイス
12/22(木)21時「サンボンバ・フラメンカ」
[出]〈g〉フェルナンド・モレーノ
[場]セビージャ カハソル文化センター ホアキン・トゥリーナ・ホール
[料]12、18ユーロ(全部の公演のパックだと67.2、100.8yu'ro =
[問]www.cajasol.es

2011年9月15日木曜日

ミゲル・ポベーダのウエルバ公演

先日,大手の書店/CD/DVD/パソコン/オーディオ/電話等のショップチェーン、
FNAC(フランス系)のセビージャ店にいったら
店内に飾られたCDのポスターに
パコ・デ・ルシア、カマロン・デ・ラ・イスラ、エンリケ・モレンテとともに
ミゲル・ポベーダの写真があった。
おっ、と思った。
いやね、

いつのまにかそんな存在になっていたのね。
本人が一番びっくりしてるんじゃないかと思うけど。

そんなミゲルの今月のコンサート。


彼のホームページで見ると今のところ
10月、11月は公演予定がないので
新しい録音にとりかかるのかな?





★ミゲル・ポベーダ
「エン・コンシエルト」
9/24(土)22時
[出]〈c〉ミゲル・ポベーダ、〈g〉チクエロ、〈palmas〉カルロス・グリロ、ルイス・カンタローテ、〈perc〉パキート・ゴンサレス
[場]パルマ・デ・マジョルカ トゥルイ劇場 
[料]40、45ユーロ
[問]http://www.truiteatre.es/es/p107/miguel-poveda-en-concierto.html
「コプラス・デ・ケレール」
9/30(金)21時
[出]〈c〉ミゲル・ポベーダ、〈指揮〉ジョアン・アルベルト・アマルゴース
[場]ウエルバ パラシオ・デ・コングレソ・カサ・デ・コロン
[問]http://www.miguelpoveda.com/

2011年9月14日水曜日

マルコ・フローレス マドリ公演


1981年カディス県アルコス・デ・ラ・フロンテーラ生まれの
バイラオール、マルコ・フローレス。
20歳でマドリードに上京。
ラファエラ・カラスコの舞踊団などで活躍し、
マヌエル・リニャンやダニエル・ドーニャ、
オルガ・ペリセらなどと
意欲的な作品をつくってきた。
2007年にはコルドバのコンクールで
ハビエル・ラトーレ以来の「アントニオ」賞を受賞。
すなわち3部門で優勝した。

その彼のソロ作品「トランシト」の
プレ初演がマドリードの劇場で行われる。
歌い手一人、ギタリスト一人、パルメーラ一人という、
シンプルな構成は
イスラエル・ガルバン「エダ・デ・オロ」以来の潮流。


★「トランシト」
9/25(日)20時
[出]〈b〉マルコ・フローレス、〈c〉ミゲル・レビ、〈g〉ヘスース・ヌーニェス、〈palmas〉アナ・ロメーロ
[場]マドリード パコ・ラバル文化センター劇場
[料]7ユーロ
[問]http://www.madrid.org/clas_artes/teatros/rabal/teatro.htm
前売り http://entradas.com

2011年9月13日火曜日

ホセ・ラマルカ写真展

9月14日から30日まで
マドリード郊外ヘタフェにある、
ヘタフェ芸術センターのロレンソ・バスケス・ホールにて
写真家ホセ・ラマルカの写真展が開催される。


「レクエルドス・イ・レトラトス」
思い出と肖像
と題されたこの写真展、
アントニオ・ガデス財団の主催、
ヘタフェ市役所後援によるもの。

生まれ故郷のアルゼンチンで
60年代後半に
アントニオ・ガデス、
パコ・デ・ルシア、
カマロン・デ・ラ・イスラ
という20世紀後半のフラメンコを代表するアルティスタの知己を絵、
1971年からスペイン在住。

アントニオ・ガデス舞踊団のポスターとなった写真をはじめ
50枚の写真が展示される。

2011年9月12日月曜日

パッション・デル・フラメンコ日本公演


9月12日セビージャのアンダルシアフラメンコ研究所において
小松原庸子スペイン舞踊団「パッション・デル・フラメンコ」
日本公演についての記者会見が行われた。

これは9月21日から10月14日まで
民音の主催で
長野、岐阜、山口など日本全国16カ所で公演されるもの。
(公演日程はこちら

そのスペイン人ゲスト・アーティスト、
バイラオール、フアン・オガージャ、
アンドイッツ・ルイバル、アントニオ・ブエンディア、
カンタオール、ダビ・パロマール、
ミゲル・デ・バダホス、
ギタリスト、フアン・カルロス・ベルランガの出演を
同研究所がサポートしたとのこと。

公演では小松原によるレクチャーもあり
一人でも多くの日本の人にフラメンコを堪能してもらいたいとのこと。

2011年9月11日日曜日

アデラ・カンパージョ10月のクルシージョenセビージャ


 セビージャのバイラオーラ、フラメンキシマなアデラ・カンパージョのクルシージョが
10月、セビージャの市内中心地区にあるスタジオで開催される。
詳細問い合わせ、申し込みは本人までメールで。

◆アデラ・カンパージョ10月のクルシージョ
10/3(月)~10/26(水)11時~12時30分
[教]〈b〉アデラ・カンパージョ
[場]セビージャ シルビア・デ・パスのスタジオ(Rioja, Portal25)
[問]adelacampallo@yahoo.es

2011年9月10日土曜日

morao morao

モラオの死がまだ実感できない。
パケーラの隣に埋葬されているという墓地はもちろん
いつもそこに行けば会えたバルのある、
ヘレスにも行くことができず
ぼんやりと
思い出すのみ。


1988年春。
初めてのフェリアでランカピーノにくっついて入ったカセータで
ソルデーラやパケーラ、チョコラーテといった名手たちを
(ああ、彼らみんなが彼岸の人となってしまった!)
ペリキン、ニーニョ・ヘロ、アントニオ・ヘロと伴奏していたモラオ。
当時私はスペインに来て半年。
まだ何もわからない、スペイン語もあやふやな頃で
お金持ちが招待客をよんでフラメンコを楽しむというカセータに
図々しくも紛れ込んでしまったというわけだ。

ほかにもラ・ネグラやカニェータ、まだこどもだったポティートもいて
カマロンやマティルデ・コラル、闘牛士のクーロ・ロメーロらもお客として顔を出す、
今考えると夢のようなカセータの、キッチンの隣から
生まれて初めてみたフィエスタ・フラメンカ。
アルティスタにとってはお仕事でのフラメンコとはいえ
初めて間近にみる本物の一流のフラメンコたちの迫力に酔った。

ある朝、12時過ぎからはじまった宴がはねて(フラメンコたちの仕事が終わって)
ほかのカセータに飲みにいくというのについていき
結局翌日夕方までフィエスタとなった。
最後の最後、道でコンパスが始まり最後のブレリア。
そこへひっぱりだされたものの
何もできない私を王子様のように迎えて引っ込めてくれたのがモラオだった。

その後ヘレスに通いはじめた。
ペーニャやフェスティバルで
いろんな人を聴いた。
根っからのボヘミアン、ルイス・デ・ラ・ピカのブレリア。その詩人ぶり。
大きなマリア・ソレアが踊りながらひっこむ絶品シギリージャ。
トルタの絶唱。カプージョのタンゴ。
フェルナンド・デ・ラ・モレーナは食パンのトラックの運転手だったし
ルイス・エル・サンボは魚屋さんだったけど
バルでちょっと歌っているのをきいたら止まらない。
絵描きのフアン・グランデもまだ健在だった。
そんな彼らとモラオはいつもいた。

聖週間の水曜日はプレンディこと、
サンティアゴ教会のクリスト・デ・プレンディミエントを観にでかけ
降るようなサエタと
終わったあとのブレリア三昧に酔った。


1990年
一時帰国のときに
小松原舞踊団招聘による、
ビエナルのスターたち公演で
ハビエル・バロン、ミラグロス・メンヒバル、
ペドロ・バカン、アウロラ・バルガス、
ミステーラ(写真右)、マノロ・フランコ(左奥)らと
やってきたモラオに会ったのは。



翌91年には
日本フラメンコ協会のフェスティバルに
特別ゲストとしてトルタと来日。
新宿での公演、ホテルだったこともあって
連日ナナに通ったものだった。

若林さん、高場さん、ナナさん、モラオと
若林さんぜんぜんかわんないねえ

そうこうするうちに時は過ぎ
ヘレスで
セビージャで
マドリードで
劇場で
野外フェスティバルで
録音スタジオで
と場所は変われど
変わらぬ彼の深い響きと
誰をもわけへだてなくつつんでしまうような豊かな人間性を
間近に感じてきた。

細く長く美しい指で奏でる
シギリージャのはじまりの、その音の深みに
妙なる間合いに
背筋はぞくぞく。
アンダルシアの日記念のマドリード、サルスエラ劇場での
メルセ伴奏のシギリージャはすごかった。
イントロがはじまるとともに涙が止まらなくなった。
そのことをあとでパルメーロで彼の義弟のラファにいったら
舞台の上でラファも泣いていたのだという。
毎日きいている人をも泣かせてしまう力技。
いや力ははいってないんだよね
フラメンコの神様が自然に彼に弾かせているんだよ、きっと。
でも本当に悪魔のような間合いなんだよ。
伝統的なシンプルなかたち。
がシンプルゆえにひとつひとつの音の間合い、
力加減で、すべてがかわってきてしまう。
(そういえばこの間新人公演のカンテ伴奏で
鈴木一義さんがモラオ風に弾いてくれて泣きそうになったよ
あれはなによりのオメナへだった)
シギリージャの伴奏でモラオの右にでるやつはいない。
今でもそう思っている。

もう一つの十八番はやっぱブレリア。
大きな固まりがぐるんぐるんまわっているような
遠心力を感じさせるブレリアの伴奏。
これまた間合いの小気味のよさにつきる。
一瞬の音の止め方の粋なこと。
心躍り、身体が自然に動いてしまう。
そしてまた
フィン・デ・フィエスタで踊ってみせる、
誰よりも優雅なブレリアの一振りにしびれる。
マルカールもさることながら
去って生き方のかっこよさ。
ああ
これぞフラメンコと大向こうをうならせる。
踊り手すらも舌をまくあの一撃。

伯父マヌエル・モラオと。ヘレスのフェスティバルの記者会見会場で
あるとき私がパコ・デ・ルシアに訊かれた。
ギタリストは誰が好きかと。
「モライート」
とつい即答。
「うん。今の潮流とはひと味違うけどいいギタリストだね」とパコ。
それをききながら「あなたです」というべきだったかな、と思ったことが昨日のようだ。
フラメンコギターの神様も一目おく存在。


実際モラオは特別だった。
スロットマシーンの音楽にあわせてブレリアふんでしまうような
いまさら言うのも変なくらいのフラメンコで
いつも自然体。
おおらかでユーモアがあって
演奏のときにみせる深みとキレ。
彼はフラメンコそのものだった、と思う。

会った当時、録音も伴奏でのものが盟友ディエゴ・カラスコとか
昔のヘレスのレコードとか、
あとたしかルンバとか、ほんとうにほんの少しだった彼だが、
ペペ・デ・ルシアがプロデュースしたヘレスの歌い手たちのアルバムを
録音した頃からだろうか、
仕事も順調に増えていった。
ポティート、ビセンテ・ソトなどとの録音。
主にヘレスの歌い手たちとの舞台。
最初は車をもっていなかった彼が
中古車から日産プリメーラ、ベンツに、
家も団地から一軒家へと変わっても、
いつも彼は変わらなかった。
会えばいつもの笑顔。
いつものバルでいつもの仲間といつものコパ。
そういえばビセンテ・アミーゴの結婚式で
ギターを抱えアルボレアを弾いたという話もある。

アグスティンのバル、アルコ・デ・サンティアゴで。真ん中はギタリストのフアン・ディエゴ
私は本当に彼のフラメンコが大好きだった。
彼と一緒にいるのが好きだった。
生まれる前からフラメンコを呼吸している彼らといると
言葉ではなく、伝わって来る何かがある。
いや、そんなものがなくても
とにかく一緒にいるのが楽しい人だった。
だからみんなに愛されていた。


2010年、ヘレスのフェスティバルの記者会見会場で。
20年前の写真とは全然違うね
肺炎をおこし入院したのはほぼ1年前のことだったと思う。
それは完治してタバコもやめたのに
声の調子がおかしいと言っていたのはビエナルの頃。
石井智子さんの公演で来日して帰国後
病院でガンとの診断を受け
それでも自分で車を運転してセビージャに通い
放射線治療を受けながら
舞台に出続けた。


エネルギーにみちているのにどこかゆったりとしていて
ここちよく、楽しく元気になってくるようだ。
人柄そのまま、といったところか。
これぞ本物。純粋正統フラメンコ!


と書いたソロを聴かせてくれた。

その後オランダのビエナルにも出演した。


2010年夏ロンダのフェスティバルで,メルセを伴奏

治療の副作用もあって舞台から遠ざかっていても
会えばいつも前向きだったから、
きっと舞台に帰って来ると思っていた。
メルセも自分の舞台のギタリストとしていつもモラオの名前をあげていた。
実際はディエゴ・デ・モラオが行くことが多かったようだけど。



モラオにもらったたくさんのフラメンコは
私の中で今も響いているけれど。


あのニュースから一ヶ月。
すごく長い時間のようにも
短くも思える。
毎日会ってた人ではないけれどそれでもなんだか
ぽっかり空白があいたようだ。



やっぱ寂しい。
とても悲しい。


2009年、ラ・ウニオンのフェスティバル

2011年9月8日木曜日

第1回プンタ・タコン


第1回シクロ・プンタ・タコンというタイトルのフラメンコ公演シリーズ
が9月11日からセビージャで開催される。
主催はフラメンコ文化協会サマルコ。
出演は
イスラエル出身のアディとチリ出身のフロールによる開幕公演以後は、
今年ラ・ウニオンのコンクールで優勝した“ラ・ピニョーナ”、
2年前の同コンクール優勝者アナ・モラーレス、
2007年青少年フラメンココンクール優勝のウーゴ・サンチェス、
イタリア人でファルキート舞踊団でマエストランサ劇場にも出演したラ・センティオ、
そして芝居仕立てのフラメンコ「グロリア・デ・ミ・マレ」が大ヒット中のチョニという布陣。
セビージャの若手/中堅舞踊手の層の厚さを感じさせるプログラムといえるだろう。
なお、前売り券はサン・ルイス通りのフラメンコ専門店フラメンコ・イ・マスで発売中。


9/11(日)22時
[出]〈b〉アディ・アキバ、フロール・スニガ、〈c〉マヌエル・ロメロ、〈g〉ペドロ・ビスコミ
9/18(日)22時
[出]〈b〉ルシア“ラ・ピニョーナ”、〈c〉ニーニョ・デ・エルチェ、〈g〉ミゲル・ペレス
9/25(日)22時
[出]〈b〉アナ・モラーレス、〈c〉モイ・デ・モロン、〈g〉ヘスース・ゲレーロ
10/2(日)22時
[出]〈b〉ウーゴ・サンチェス、〈c〉エル・トリニ、〈g〉ルイス・アマドール
10/9(日)22時
[出]〈b〉イレーネ“ラ・センティオ”,〈c〉エル・ガジ、〈g〉ミゲル・イグレシアス
10/16(日)22時
[出]〈b〉ラ・チョニ,〈c〉アリシア・アクーニャ、〈g〉ラウル・カンティサーノ
[場]セビージャ パサヘ・マジョル16
[料]8ユーロ
[問]http://samaruco.jimdo.com/

2011年9月7日水曜日

セビージャ、ロペ・デ・ベガ劇場のフラメンコ公演

1929年、イベロアメリカ博覧会のために建てられたロペ・デ・ベガ劇場。
美しい装飾のほどこされたヨーロッパの伝統的な劇場で
定員も600名前後とこじんまりしているせいもあってか
劇場と舞台との一体感がほかの劇場よりも感じられる。
「マヒア(魔法)がある」
とこの劇場で公演することを好むアルティスタは多い。

そのロペ・デ・ベガ劇場での秋のフラメンコ公演は以下の通り。
ラファエル・リケーニは現在、マドリード在住だが
トリアーナ生まれのご当地アルティスタ。
健康の問題等でブランクもあったが
今回は新作でのリサイタル。
入場券は現在、切符売り場で配布中とのこと。
ぜひかけつけたいものだ


★セビージャ ロペ・デ・ベガ劇場のフラメンコ
915(木)21時「パルケ・デ・マリア・ルイサ」
[出]gラファエル・リケーニ,ゲスト〈c〉マイテ・マルティン
[料]招待券
1014(金)20時30分「デ・ラ・オリヘン・ア・ラ・ウニオン」
[出]cマリア・トレド,〈g〉へスース・デ・ロサリオ、〈perc〉ルキ・ロサーダ、〈bass〉ジェルシ・エレディア、〈violin〉ダビ・モレイラ
[料]9~30ユーロ
1015(土)20時30分、16(日)19時30分
[出]bアントニオ・エル・ピパ
[料]9~30ユーロ
[場]セビージャ ロペ・デ・ベガ劇場
[問]http://www.teatrolopedevega.org/
前売り http://www.generaltickets.com/